概要
電子負荷装置が便利で複数台を同時利用することがありますが、ケースに入っていないとやっぱり不便です。今回はPCB基板を使って自分での加工無しでケースを作ってみました。
電源装置のケース
安定化装置と同じ形の機材はいろいろありまして、電源装置はアルミ製の専用ケースがあります。

このケースを購入してもよいのですが、送料を考えると1個千円以上になりますのでもう少し安く作りたいと思います。
完成物

突然ですが、完成物です。ケースは市販のものを利用して、フロントパネルだけPCB基板を注文して作成しています。パナナソケットで負荷を接続し、下にあるUSB Type-Cで電源とシリアル通信が可能になっています。
ケース選定

いろいろ検討したのですが、今回は上記の未来工業さんのケースを採用しました。
Amazonやホームセンターだと700円前後でちょっと高いのですが比較的入手性がよいです。
なんとヨドバシさんだと半値ぐらいで購入可能です。この箱は電源などの配線に利用するもので、本来は埋め込んで利用するものになります。いろいろなサイズや色がありますが、中形四角深型が使いやすかったです。Amazonだと浅型は安いのですが、今回の機材は奥行きが必要なので深型でないと入らなかったです。

こんな感じで固定用のネジが2本と、配管用の穴が開けられるようになっています。
あと、PCB基板でフロントパネルを作るのでサイズの上限が100mm x 100mmまでとなります。大きなサイズで作ると一気に価格があがるので今回はある程度妥協して作っています。
本体用穴の加工

商品ページから穴のサイズを確認します。横が78ミリ必要で、奥行きもファンをいれると45ミリは必要になってきます。このサイズに入るケースはあまり選択肢がなかったです。

こんな感じで本体の部分はデータ通りに作れば大丈夫でした。

注意点としては上記の赤丸のところは中身をくり抜くときにドリルを使うので真四角にはなりません。

あらかじめ半径1mmのコーナーにしておく必要があります。

実物を確認したところ、ちょうどここのカーブが本体にしっかりとはまってピッタリでした。
バナナソケット

いろいろな製品がありますが、上記の埋め込み型にしてみました。こちらは穴が12mmなのでホールを設置するだけです。

上記のように2個設置しました。

上記のような形のが好きなのですが、でっぱるので今回はやめました。これの場合には9.5mmの穴を開けるのかな。実際にどう使うのかがわかりにくいのと、物によって穴の大きさが違うので注意が必要です。
USBの穴

今回は実験のため3つ開けてみました。

一番左は直接USB端子をはんだ付けしています。

表からみるとこんな感じで十分実用範囲です。ちなみにPCB注文時に注文番号を裏に移動するのを忘れていたので左下に印字されています。

1.75mmの円弧を利用していました。

真ん中の長さは6mmなので、横9.5mmの縦1.75mmの楕円になります。若干大きめに作っていますが、側面もハンダ面になっていたのでこれぐらいがおすすめです。
色がかかっている場所がカッパーとソルダーマスクを両方指定して、ハンダ面にしているところです。

直接はんだ付けをして固定する場合に注意するのは基板からコネクタ部分が飛び出ていることです。
たとえば上記のようなボードだとコネクタがはみ出ていないので基板に取り付けることができません。

真ん中の穴は上記のような延長ケーブルをネジ止めするタイプに利用します。しかしType-Cケーブルの延長は本来は規約違反になるためあまり好ましくありませんし、送料とか考えると結構高いです。

右側の穴は上記のようなタイプです。使いやすそうな気がするのですが、穴の調整が非常に難しかったです。CCを含めた6本線がでるので今後の基板作成で使いたかったのですがこの手の穴だけで止めるタイプはかっちりとはめるためにはいろいろなサイズで作ってみて実験しないとだめです。試しに作ってみたのは失敗しました。
特にケーブルは抜き出しするので電子負荷本体とは違い、確実に固定したいです。ただこの左右の出っ張りだけで止めるのは難しそうな気がしました。

あとはパネル固定用のコネクタも販売されています。ただよく見ると基板にハンダで固定しているので、だったら自分で固定すればいいかなと今回の形になっています。

確実に固定したい場合には上記のようなものがおすすめです。いろいろなコネクタに変更可能でわりと汎用的に使えますがちょっと高いです。
配線と組み立て

まずバナナソケットですが、この端子はどうやら平型端子やファストン端子と呼ばれるやつの一番大きな6.3mmがちょうどはまります。電源スイッチとかもこの端子ですよね。
あとこのソケットを固定するのには上記のドライバが必要です。12mm用で安いものがあると思うのですが見つけることができませんでした。

他のサイズだったらあるんですが、、、しかたないので小さめのマイナスドライバーとかで押し込んで回しました。

配線は0.75sqのケーブルを使いました。右側が平型端子で、カバーを先に入れてくのが一番重要なノウハウです。左側はスクリューターミナルに固定するのでフェルール端子を付けてみました。

こんな感じの配線となります。ちなみに電子負荷のファンが大きいのでこのままだとパネルの穴を通過できません。しかしファンがついている部分の基板は取り外しが可能ですので分離してから、ファンの部分の基板を取り付けるようにします。

ちなみにTTLからの接続はあまり電流が流れないので適当でも大丈夫です。横に出すとケースと干渉するので無理やり曲げています。RXとTXははんだ付けせずにスルーホールに差し込んでいるだけで固定していません。

これで完成です。USBケーブルでパソコンとシリアル接続と電源供給をして、バナナ経由で負荷を接続します。ノブを使って手動で負荷を設定することも、パソコン経由で自動制御することも可能になりました。
類似ボックス
タカチ TWシリーズ
他の候補としてタカチのTWシリーズがありますが、奥行きが浅いものしかないので今回の選定からは漏れました。ただし同じようにPCBでフロントパネルを作るのには適した作りだと思います。ただ抜き勾配が大きいので、真四角って感じじゃないんですよね。
上記に一覧があります。
型番 | W | H | D |
---|---|---|---|
TW4-2-5B | 35 | 20 | 50 |
TW4-2-6B | 35 | 20 | 60 |
TW4-2-8B | 40.3 | 20 | 80.3 |
TW5-2-5B | 50 | 15 | 50 |
TW5-2-7B | 50 | 15 | 70 |
TW5-3-10B | 50 | 30 | 100 |
TW5-3-5B | 50 | 25 | 50 |
TW5-3-7B | 50 | 27.5 | 70 |
TW5-3-9B | 45 | 25 | 90 |
TW5-4-7B | 50 | 40 | 70 |
TW8-2-8B | 80 | 20 | 80 |
TW8-4-8B | 80 | 40 | 80 |
100mm以下の箱だけ抜粋してみました。Hが深さなので注意してください。80mm x 80mmの深さ40mmが一番大きい箱になりますが、今回の電子負荷はその大きさでは入らないです。
ただ上記は縦40mmで横80ミリ、深さ20ミリと非常に使いやすいサイズで価格も安いです。秋葉原にいけばいろいろなサイズが購入できるのですが、Amazonだとほしいサイズが売っているかは微妙なところです。
EU向けスイッチボックス

ヨーロッパ向けだと連結できるタイプのボックスがあります。

送料含めてもかなり安い製品です。

ただ入りません。。。ケース的には非常に使いやすそうですし、安いのでなにかに使えたらと思います。

ただし、サイズは結構適当ですので実物を計測すると縦横のサイズが同じではなかったので、現物を準備してからの利用をおすすめします。このケースだと奥行きも広いのと、ケースが86mmぐらいとPCBの上限である100mmに近いのでいろいろ便利そうです。
エフェクター用アルミケース
いろいろなサイズがあって、比較的安いものもあります。アルミ製なのでそこそこ強度もありますのでフットスイッチとか、トグルスイッチとかですこしゴツメのを作るのには適していそうです。
本当はこんな感じのスイッチを付けたのを作りたかったです。無駄にかちゃかちゃ動かしたい。
まとめ
自分でケースを加工したくない人はPCB基板でのパネル作成は便利だと思います。USBコネクタも直接はんだ付けで固定可能でした。
3Dプリンタで出力してもいいのですが、市販品のケースとPCBパネルの方が私は楽かなと思いました。
カテゴリ | 詳細 | 価格 |
---|---|---|
電子負荷 | FZ25 | 1,704 |
ケース | 未来工業 PVK-BNJPVK | 330 |
パネル | JLCPCB | 450 |
バナナソケット | 赤、黒2つ | 111 |
USB | Type-C USB to TTL | 307 |
配線 | エーモン ダブルコード 0.75sq | 26 |
平型端子 | 6.3mm x 2 | 5 |
フェルール端子 | 0.75aq用 x 2 | 5 |
2,938 |
費用は上記で、送料込の金額なので同時購入すればもう少し安くなります。配線などの金額は適当に按分しています。PCBパネルは5枚分なので1枚あたり100円ぐらいの費用になります。
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