概要
ESP32で普通のLANケーブルを利用した通信について調べてみました。PoE対応のものが多いですが、最近は普通のLANのみも増えてきています。
ESP32でのEthernet対応について
ESP32ではEthernet用のMACアドレスを内蔵しており、Ethernet PHYに接続することで高速に通信できるモードと、SPI接続のEthernetモジュールに接続する2種類があります。
PHYへの接続はGPIOが18本程度必要なMIIと、9本程度必要なRMIIをサポートしていますが基本的にはRMIIが利用されています。ただし、RMIIはGPIOの本数が多いのと、ノイズの影響が大きいため最初から内蔵しているボードが中心となります。
SPI接続の場合にはGPIOを4本程度で接続可能なので後付でもなんとか通信は可能です。ただし、PHYと比べると低速での通信になるはずです。
その他にかなり低速ですがUARTで通信できるものもあります。昔はXPortなどのように組込Linuxが動いていたボードでしたが、CH9121のようにワンチップになっているものも登場してきています。
利用できるモジュール
接続方法 | 型番 | 代表的な開発ボード等 |
---|---|---|
RMII | DP83848 | Trueverit ESP32 Universal IoT Driver MK II |
RMII | IP101(TLK110) | ESP32-Ethernet-Kit M5Stack ESP32 Ethernet Unit with PoE |
RMII | KSZ8041 | |
RMII | KSZ8081 | Connaxio’s Espoir |
RMII | LAN8720 | WT32-ETH01 T-Internet-POE |
RMII | RTL8201 | T-ETH-Lite |
SPI | DM9051 | ETH01-EVO |
SPI | ENC28J60 | |
SPI | KSZ8851 | ESP Thread Border Router |
SPI | W5100 | |
SPI | W5500 | ESP Thread Border Router M5Stack LAN Module |
UART | CH9121 |
いろいろありますが、IP101が標準的な感じですが古いので最近のものではあまり採用されていません。RMIIだとLAN8720の採用例ばかりです。
SPIの場合ENC28J60やW5100が古典的に使われていましたが、最近はW5500一択だと思われます。
IP101のおすすめボード
公式ボードは上記ですが、結構高いのと技適付きモジュールが届くのかが怪しいです。
上記のM5Stack社製のイーサネットユニットが比較的入手しやすくて技適付きのはずです。
LAN8720のおすすめボード
価格的には上記のWT32-ETH01がAliExpressだとダントツに安いのですが技適付きモジュールではありません。
技適付きの場合、上記のLILYGO® TTGO T-Internet-POEが使いやすそうです。本体には書き込み機がついていないのでセットで購入する必要があります。ちょっと取扱が難しいので注意してください。
RTL8201のおすすめボード
あまり採用されている例は少ないですがRTL8201を搭載しており、比較的安い開発ボードになります。こちらはESP32の場合はRTL8201で、ESP32-S3の場合W5500と搭載しているモジュールが違うので注意してください。こちらもUSB端子がないので別途書き込み機が必要になるはずです。ちょっと取扱が難しいので注意してください。
W5500のおすすめボード
純正ボードは上記ですが、技適がないので日本では利用できないと思います。
W5500はSPIなので比較的商品がたくさんあります。上記のATOMと接続するものがシンプルで使いやすいと思います。
価格だけだと上記のモジュールタイプが一番安いです。
もちろんW5500単体モジュールを購入して、既存のボードと接続しても利用可能です。
PoEのおすすめ
上記のスプリッタなどを利用するのがおすすめです。
上記のようにType-Cになっているものもあります。Raspberry Pi用のものが比較的安定していますが、本体内にPoEモジュールを組み込むより、この手の汎用スプリッタの方が安いのと故障時の交換が楽です。
M5Stack社の製品一覧
SKU | Title | Module |
---|---|---|
A091 | ATOMIC PoE Base W5500 | W5500 |
K012-B | [EOL] LAN Module with W5500 | W5500 |
K012-B-V12 | LAN Module with W5500 V12 | W5500 |
K012-C | [EOL] LAN Module W5500 with POE | W5500 |
K012-C-V12 | LAN Module W5500 with PoE V12 | W5500 |
K052 | ATOM PoE Kit with W5500 (HY601742E) | W5500 |
M136 | LAN Module 13.2 (W5500) | W5500 |
U121 | [EOL] M5Stack PoE Camera W/O Wi-Fi (OV2640) | W5500 |
U121-B | M5Stack PoE Camera with Wi-Fi (OV2640) | W5500 |
U129 | MQTT Unit with RJ45 Port (W5500) | W5500 |
U129-B | MQTT PoE Unit with PoE Port (W5500) | W5500 |
U138 | ESP32 Ethernet Unit with PoE | IP101G |
かなりいろいろ出ていますが、ESP32 Ethernet Unit with PoE以外はすべてW5500になります。
LilyGOの製品一覧
上記にまとまっていました。ただ技適対応モジュールを使っているはずですが、マークなしのものが到着する可能性があったりと少し難易度が高いです。
T-ETH-Lite ESP32は価格的にはおすすめなのですが、USB端子や書き込み用の専用機がないのでちょっと面倒ですね。
上記の「T-Internet-COM」はUSB端子付きでそのまま書き込めて、LAN8720搭載なので価格的にも使いやすいかもしれません。本来の用途としてはPCIEボードを追加してLTE通信などを行うためのボードですがLANのみ使う方が国内用途だとおすすめです。
まとめ
WT32-ETH01が圧倒的に安くて便利そうなのですが、技適なしモジュールなので悲しいです。ESP32-CAMとか安いものでも技適付きモジュールで販売してほしいですね。
余裕があれば何個か購入してみて、動作確認をしてみたいと思います。
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