概要
M5Stack社のカメラ関係の製品が増えたので、違いをかんたんにまとめてみました。ざっくりと現在7種類以上のカメラが存在しています。
ESP32-Cameraタイプ(技適無し)
いやゆるESP32-CAMに似たモデルです。
上記のようなESP32にカメラがついている最低限のボードなのですが、使われているESP32モジュールに技適がありません。そのため日本未発売です。
私の知る限り、このタイプで技適を取得しているのは上記の商品のみだと思います。
- ESPカメラモジュール [ESP32-CAM-K](aitendo)
もしくは、上記のように技適なしのESP32モジュールを未実装のものと、技適付きESP32モジュールを自分ではんだ付けするキットがあります。
このタイプは非常に安いのですが、技適が無いものが多いのとUSB経由でかんたんにファームウエアの転送ができないものが多いので、初心者にはおすすめしません。
M5Cameraシリーズ
従来M5Stackのカメラといえば、このシリーズになりました。
M5Camera
- M5Camera(スイッチサイエンス)
- PSRAM Camera Module with ESP32 WROVER (OV2640)(公式ストア)
一番ベーシックなカメラ付きモジュールです。ざっくりいうとESP32-CAMをケースにいれ、USB経由でかんたんにファームウエアを転送できるようにしたものです。
M5Camera F
- M5Camera(魚眼レンズ版)–販売終了(スイッチサイエンス)
- PSRAM Fisheye Camera Module (OV2640)(公式ストア)
日本だと販売終了しているのですが、無印M5Cameraのレンズをフィッシュアイ(魚眼)レンズに変更したものです。より広角で撮影することができます。
若干画質は落ちますが、上記のように外付けで広角レンズをつけることもできます。最近は100円ショップでも手にはいるので、Fよりは無印に外付け広角レンズをチャレンジしてみることをおすすめします。
M5Camera X
- M5Camera X(スイッチサイエンス)
- PSRAM Camera Module (OV2640)(公式ストア)
これがわかりにくいのですが、無印M5Cameraとそうかわりません。M5Cameraは耳が最初からついているのですが、こちらはM5StickCなどとおなじような四角いケースになります。入手性に難があるので、無印M5Cameraをおすすめします。
Timer Camera Xシリーズ
最近販売されたシリーズです。こちらは珍しくM5がついていない商品群になります。
Timer Camera(技適マーク無し?)
Timer Cameraシリーズの無印Timer Cameraはケース無しモデルになります。
技適は取得しているようですが、パッケージなどに技適マークが表示されているのが確認されていません。おそらくケースに追加される気がするのですが、現状日本で利用できるかわかりません。スイッチサイエンスさんで販売されるまでは手を出さないほうがよいと思います。
Timer Camera F
こちらは日本未発売です。おそらく近日中に販売されると推測しています。内容的にはTimer Camera Xを魚眼レンズに変更したものです。こちらも先程紹介したM5Camera Fと同じく、外付けの広角レンズをまず使ってから、満足できない場合にFを購入することをおすすめします。
Timer Camera X
- Timer Camera X(スイッチサイエンス)
- ESP32 PSRAM Timer Camera X (OV3660)(公式ストア)
最近日本でも販売されたモデルになります。Timerと入っていますのでRTCと連携して、写真を撮影するなどができるようになっています。
上記に紹介記事を書いてあります。
カメラの違い
| 商品 | 商品コード | 価格($) | 技適 | USBシリアル | フラッシュ | PSRAM | カメラ | バッテリ |
| ESP32-Camera | U007 | 11.95 | ✕ | CP2104 | 4M | – | OV2640 | ✕ |
| M5Camera | U017 | 14.95 | ○ | CP2104 | 4M | 4MB | OV2640 | ✕ |
| M5Camera F | U037 | 15.5 | ○ | CP2104 | 4M | 4MB | OV2640 | ✕ |
| M5Camera X | U038 | 14.95 | ○ | CP2104 | 4M | 4MB | OV2640 | ✕ |
| Timer Camera | U082 | 11.95 | ? | CH552 | 4M | 8MB | OV3660 | ✕ |
| Timer Camera F | U082-F | 19.95 | ○ | CH552 | 4M | 8MB | OV3660 | ○ |
| Timer Camera X | U082-X | 14.5 | ○ | CH552 | 4M | 8MB | OV3660 | ○ |
上記が一覧です。発売順に並んでいます。U系の商品コードなので、実はユニット系商品として販売されています。とはいえESP32が中に入っているのでユニットではないとは思っています。。。
特徴として、M5Camera系とTimer Camera系でUSBシリアル変換のICが違っています。M5Cameraは定番のCP2104を利用していましたが、Timer Camera系ではM5StickCなどと同じCH552を採用しています。
CH552はArduino UNOと同じドライバで動くので、Arduino IDEをインストールすると同時に入ります。ただし、転送速度が定番のものより早い利点があるのですが、逆に定番の転送速度では転送できません。これは結構はまるポイントになります。
また、フラッシュはすべてが4MBなので差はありません。PSRAMはM5Cameraは4MBでTimer Camera系は8MBと差があるように見えますが、通常の用途で利用できるのは両方とも4MBまでなのであまり差はありません。
決定的に違うのはカメラモジュールです。M5CamearaはOV2640を利用しており、2Mピクセルで1600 x 1200の解像度になります。Timer CameraはOV3660を利用しており、3Mピクセルで2040 x 1536の解像度になります。カメラの性能はTimer Cameraの方がよいのですが、動画の場合にはもう少し低い解像度を使う事が多いので、用途によってはそれほど気にならないと思います。
バッテリーはTimer Camera FとXは内蔵していますが、M5Cameraは外付け用のバッテリーを自分ではんだ付けする形になります。
- M5Camera用バッテリーベース(スイッチサイエンス)
この外付けバッテリーはあまりおすすめできません。なぜなら電源OFFができなくなります。バッテリーの続くかぎり動く動作のみになります。たまに停電になる環境などでバッテリーが欲しいときに利用するみたいな場合には便利だと思います。
カメラの選び方
シンプルに使いたい
一番シンプルなのはM5Cameraです。専用ライブラリも必要なく、開発もESP32 Wrover Moduleを選択すればすぐに利用可能です。
M5Stack社の最新カメラを使ってみたい
Timer Camera Xがおすすめです。Timer Camera XはM5Stack CoreInkやM5Paperなどのベースになっている電源管理が搭載されています。RTCでタイマー起動が可能で、スリープは主電源をOFFにすることによって、省エネで動作させることができます。
ライブラリも専用のものが用意されています。ただし、M5クラスがない簡易的なものなのでちょっと物足りないところはあります。結構癖があるボードですので、紹介記事などを見てから触ることをおすすめします。
RTCが欲しい
PIRユニットなどを使って、人感センサーで反応した時間と写真を保存する場合にはTimer Camera XのRTCで時間が欲しくなると思います。とはいえ、サーバー上にアップロードすることができれば、サーバー上の時間が使えるので必ずしもESP32側で時間を管理しなくてもよいと思います。残念ながらSDカードが搭載されていないので、ローカルに画像を保存するのはかなり面倒だと思います。
長時間バッテリー動作をしたい
こちらもTimer Camera Xの用途になりますが、本当は外部からの入力線が欲しかったですね。外部PIRセンサーからの入力で電源ONにできて、SDがあれば、、、
ちなみにモバイルバッテリーを改造して、センサーに反応するとモバイルバッテリーの電源を入れて、バッテリー無しのESP32-CAMとかでSDカードに保存させる事例とかはあったりします。
SDに保存したい
現在SDカードを搭載しているカメラはありません。使える信号線も足りないので、外部にSDカードを接続することも困難だと思います。技適付きのESP32-CAMなどを使うしか現在選択肢はないと思われます。
マイクも欲しい
マイク内蔵モデルはありません。マイクユニットなどを利用して外付けを使う必要があります。M5Stack社以外のカメラボードであればマイクを内蔵しているESP-EYEなどがあります。
その他のESP32カメラ
ちょっと古いのですが、実はM5Stack社以外であまり新製品はでていません。個人的にはESP-EYEがおすすめですが、入手性に難があります。Digi-Keyとか注文するひとであればいいんですけれどね。
LILYGO TTGO T-Cameraは情報が少ないのと、結構モデル数がたくさんあって上級者向けのものになります。
その他のカメラ
ESP32カメラ以外にもM5Stackにはカメラっぽい商品がありますので紹介したいと思います。
M5StickV
- M5StickV(マイク搭載版)(スイッチサイエンス)
- M5StickV K210 AI Camera (Without Wifi)(公式ストア)
こちらはK210という、AI用のチップを搭載したボードです。ESP32とはまったく違う商品群で、開発もPythonになります。カメラを利用して、判定をしたいなどであれば便利だと思います。かなり扱いは難しいですので、気合を入れてからチャレンジする商品になります。
ちなみに私は未経験です。
UnitV
- UnitV AI Camera(スイッチサイエンス)
- UnitV k210 Edge Computing AI Camera(公式ストア)
M5StickVから画面をなくしたモデルです。とはいえ、最近はマイクが搭載していなかったり、カメラモジュールの型番が違っていたりとちょっと差がでてきているようです。こちらは保有していますが、一度も触ったことがありません。
Groveケーブル経由でESP32と接続して、シリアル通信で画像を転送することなどもできます。ただし、それほどかんたんではないようです。
サーマルカメラユニット
- M5Stack用ミニサーマルカメラユニット(スイッチサイエンス)
- Thermal Camera Unit (MLX90640)(公式ストア)
ユニクロとかで置いてある、赤外線を使った体温測定カメラの簡易バージョンです。もう少し精度は低いですが、画像で温度の分布をみることができます。
非常に楽しいですが、高いです。。。
M5StickT
- M5StickT(スイッチサイエンス)
- M5StickT ESP32 Thermal Camera Development Kit (Lepton 3.0)(公式ストア)
こちらはユニクロなどで置いてある赤外線カメラと同等ぐらいのカメラになります。内部にはESP32が入っているのですが、ほぼセンサーの値段になります。
非常に非常に非常に高いので、あまり持っている人はいないと思います。
まとめ
個人的にはTimer Camera Xを使ってもらいたいと思いますが、結構はまるポイントがある商品なので面倒な人はシンプルなM5Cameraがよいと思います。
とはいえ、値段が変わらないのですよね、、、だったら多機能なTimer Camera Xがおすすめなのですがバッテリーにまつわる細かい制御が面倒なのと、USBシリアルのチップの違いによる転送速度設定がネックになりやすいとは思います。



















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