概要
M5Stack社の製品が増えてきて、どれを使ったほうがいいのかがわかりにくくなってきたので、選び方をかんたんにまとめてみました。
M5Stackとは?
M5Stackを開発している会社がM5Stack社です。M5Stack社の代表的な製品がM5Stackです。そのため、M5Stackと書いてある場合には会社名なのか製品名なのかがわかりません。
M5Stack社の本体一覧
上記が日本の代理店であるスイッチサイエンスさんの一覧ページです。ここにない本体は基本的に日本では流通していません。
新製品などは海外から通販したほうが安くて早いのですが、日本国内の電波法などの関係で使えないものが混ざっています。基本的スイッチサイエンスさんで取り扱いのない商品は日本で使えないものと思ってください。
M5Stackシリーズ
M5Stackは5センチ角のケースに入っているマイコンのシリーズです。ただし大きさの基準は中身にはいっている基板サイズなので、ケースを含めた本体サイズは5.4センチ角になります。
最初にざっくりと解説をして、あとで選び方を書きたいと思います。
M5Stack Basic
一番標準的な製品です。少し大きめの画面と、SDカードとスピーカー、ボタンが3つあります。バッテリーは150mAhのものが内蔵されています。
M5Stack Gray
灰色になって、9軸の加速度センサーが搭載されました。フラッシュの容量も大きくなったので、大きなプログラムも書き込むことができます。
M5Stack Faces
Grayの本体にキーボードをセットにしたものです。また、キーボード側にバッテリーが増設されています。
M5Stack Fire
GrayにさらにマイクとGrove端子の追加、バッテリー容量を増やした本体に、PSRAMという外付けメモリが増設されているボトムが付属しています。
M5GO
Fireの本体に、各種センサーをセットにしたものです。ただし、FireにあったPSRAMが増設されているボトムは付属していません。
一覧
– | M5Stack Basic | M5Stack Gray | M5Stack Faces | M5Stack Fire | M5GO |
SoC | ESP32 | ESP32 | ESP32 | ESP32 | ESP32 |
画面 | 320×240 | 320×240 | 320×240 | 320×240 | 320×240 |
フラッシュ | 4M | 16M | 16M | 16M | 16M |
PSRAM | – | – | – | 4M | – |
Grove I2C | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Grove GPIO | – | – | – | ○ | ○ |
Grove UART | – | – | – | ○ | ○ |
スピーカー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
マイク | – | – | – | ○ | ○ |
IMU | – | 9軸 | 9軸 | 9軸 | 9軸 |
ボタン | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
SDカード | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
バッテリー | 150 | 150 | 600 | 600 | 600 |
価格 | 3,575 | 4,290 | 7,040 | 6,325 | 8,305 |
価格はスイッチサイエンスさんの価格です。
M5Stickシリーズ
縦型の本体で、バッテリーを内蔵しているシリーズです。
M5Stick
日本未発売で、日本で使うことができない製品です。新規開発している製品には組み込まれていましたが、日本で販売はなさそうです。
M5StickC
M5Stack Basicよりもいま一番人気なのがこのM5StickCだと思います。Cはコンパクトの略で、グレーのM5Stickよりも小さいサイズになっています。
日本で正式販売されており、Basicとの差はSDカードスロットがなくなり、スピーカーの変わりにマイクを搭載しています。
M5StickT
日本未発売で、日本で使うことができない製品です。赤外線サーモセンサーを搭載しており、暗闇での監視や、基板などで発熱している場所の特定などが可能です。
ただし、サーモセンサーだけで300ドル以上するので、本体が5万円前後になると思います。日本でも発売する可能性はありますが、一般用途では高いので使いにくいと思います。
M5StickV
カメラ付きのM5StickCに見えますが、中身はまったく違うシリーズです。カメラを利用したAI開発用のボードになります。
開発ツールから開発言語まで、すべて違うので注意してください。動かすためには別途SDカードが必要になります。また、他のボードと違い無線を内蔵していません。
一覧
– | M5Stick | M5StickC | M5StickT | M5StickV |
SoC | ESP32 | ESP32 | ESP32 | K210 |
画面 | 128×64 | 160×80 | 240×135 | 240×135 |
フラッシュ | 4M | 4M | 4M | 16M |
PSRAM | – | – | – | – |
Grove I2C | ○ | ○ | ○ | ○ |
Grove GPIO | – | – | – | – |
Grove UART | – | – | – | – |
スピーカー | – | – | – | – |
マイク | ○ | ○ | ○ | – |
IMU | 9軸 | 6軸 | 6軸 | 6軸 |
ボタン | 1 | 2 | 2 | 2 |
SDカード | – | – | ○ | |
バッテリー | 80 | 80 | 300 | 200 |
価格 | 未発売 | 1,980 | 未発売 | 3,080 |
一般的にM5Stickと言ったらM5StickCだと思われます。M5StickVは中身がかなり特殊なので、起動してサンプルを動かすまででも、かなり難しいです。
それ以外のものは、とりあえず日本で販売していないので気にしなくても大丈夫です。
M5Cameraシリーズ
M5Camera
このカメラ付きモデルはかなり特殊で、M5Stickシリーズと比べると画面もバッテリーも内蔵していません。普通のESP32にカメラとケースを付けたものになります。
ESP32でかんたんにカメラを利用したい場合には便利です。
一覧
– | M5Camera |
SoC | ESP32 |
画面 | – |
フラッシュ | 4M |
PSRAM | 4M |
Grove I2C | ○ |
Grove GPIO | – |
Grove UART | – |
スピーカー | – |
マイク | – |
IMU | |
ボタン | 0 |
SDカード | – |
バッテリー | – |
価格 | 1,815 |
実はM5Cameraは昔のバージョンや色違いなどがあるのですが、あまり一般的でないので現在販売中のモデルのみ紹介します。
Unitシリーズ
M5Stack社の製品はGrove端子を利用して、機能を拡張することができます。拡張するものをユニットとよんでいます。
UnitV AI Camera
M5StackVからバッテリーなどをなくし、最小限にした製品です。基本的にはM5StackやM5StickCと組み合わせて利用することになります。
M5Stack用ミニサーマルカメラユニット
赤外線サーモカメラのユニットです。M5StickTと比べると利用されているセンサーは安いものになります。
ATOMシリーズ
M2ATOMとして開発されていたシリーズです。M2ですので、内部の基板が2センチ角です。まだ日本での販売はありませんし、日本で使うこともできません。
M5StickCから機能を減らし、一番シンプルにした製品群です。バッテリーも内蔵されていないのですが、M5StickCより利用できるピンが多いので拡張性は高いです。
ATOMだけではちょっと単機能過ぎますが、外部拡張する前提の組み込みでは安いのでかなり使えそうです。
ATOM Lite
一番シンプルなATOMです。LEDはフルカラーが1個だけ搭載されています。個人的にはLiteの方がATOMの本命になるかなと思っています。
ATOM Matrix
M5StackCの画面の変わりに5×5の25個フルカラーLEDが搭載されているようなモデルです。ATOMをとりあえず触ってみるときにはMatrixを選ぶ人が多いと思います。
慣れてきたら、LEDはそんなに個数が必要ないと思うので安いLiteを大量に使う方が良さそうです。
M5Stackシリーズの選び方
基本的にはM5Stack Basicが一番基本的な製品となります。スイッチサイエンスさんが動画で選び方をアップしているので、こちらも参考にしてください。
去年の年間売上ランキングとかを見ると、M5Stack Basicでいいのかなーって思っていますが、私はM5StickC以外持っていません。
M5Stickシリーズの選び方
M5StickCはとりあえず1つあると便利だと思います。M5StickVはちょっと癖があるので、AI開発にしては気軽に開発が可能ですが、M5StickCなどの開発に比べると非常に難しいです。
用途別の選び方
とりあえずなにか欲しい
M5StickCをおすすめします。とりあえず一通りの用途で利用できると思います。
キーボードが欲しい
M5Stack Facesが無難ですが、M5StickCにキーボードHAT(日本未発売)かキーボードユニットを組み合わせる方法もあります。キーボード系はキーは取得できますが、処理は自分で作る必要があるので、あまり実用的ではないかもしれません、、、
赤外線サーモカメラが欲しい
M5StickTは高いのと日本で利用できないので、M5StackかM5StickCにM5Stack用ミニサーマルカメラユニットを接続する形がいいと思います。
カメラが欲しい
カメラを使うのはなかなか難しくて、画面もバッテリーも必要ないのであればM5Cameraが最適です。画面が必要ある場合には、カメラ搭載している製品とM5StackかM5StickCを接続して利用する必要があります。
M5StickCとUnitVが最近のトレンドですがUnitVを使うのはかなり大変です。M5StickCとM5Cameraを無線で通信する方法などが比較的難易度が低い気がします。
他のシステムを無線化したい
今後ATOMがこの領域に入ってきますが、現在はM5StickCが適しています。
AI開発を行いたい
無線通信をしないのであればM5StickV。無線を利用する場合にはM5StickCとUnitVがおすすめです。
V系はSDカードが必須で、本体とSDカードの相性問題があるので、まず起動するのだけでも大変です、、、
購入場所
Amazonのリンクを貼っていますが、商品の画像を見せたいだけですので、即納で欲しいものがある場合以外には他のお店で買うことをおすすめします。
スイッチサイエンス
日本の総代理店ですので、一番確実です。千石電商さんや秋月電子通商さんで購入してもスイッチサイエンスさん経由ですので安心です。
スイッチサイエンスさんのシールがはられている、正規取扱品を購入するのをまずはおすすめします。
M5Stack社直販
上記が直販サイトです。日本で買うよりも安いですが、届くまでに2週間ぐらいはかかる気持ちで注文してください。
日本で使えない製品も含んでいたり、新製品は一ヶ月ぐらい到着まで時間がかかったりするので、外国からの通販に慣れていない人にはおすすめしません。
また、初期不良や故障などの対応も英語で行う必要があります。
まとめ
いろいろ書いてありますが、M5StickCしか私は持っていません。。。
最初の一個はオレンジ色のM5StickCがおすすめです。安いですしね。購入してみるとわかるのですが、触っていると楽しいので増えていきます。一番お財布にやさしいのはM5StickCになります。
M5Stackの場合には、深く触るためにはBasic、Gray、Fireの3種類は必要になりますのでそれだけで結構な金額になります。
UnitVも試してみたいですが開発言語や環境がまったく違うので、まだ手を出していません。
ATOMが中国で発売されましたが、日本で販売する準備をしている途中みたいです。ATOMは安くて非常に使われそうな気もしますが、まずはM5StickCで作って、もう少し安くしようとATOM Liteに載せ替えるみたいな使い方の方がいい気がします。
もしくはラジコンなどの無線化で、ATOMを組み込むみたいな使い方ですね。無線系の新製品は中国から直接購入すると日本で使えるものと、使えないものが混ざって届く可能性があるので、なるべく初物はスイッチサイエンスさんから購入することをおすすめします。
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