Seeed社入門

電子工作をしていると利用することがあるかもしれないSeeed社の入門です。

Seeed社とは?

Seeed社は昔はSeeed Studioという名前であったが、現在はSeeedになっているらしい。ただし通販サイトのURLなどにSeeed Studioだった時代の名残が残っています。

もともと少ロットでのプリント基板製造で有名な会社でして、趣味で作った基板や、サンプル品などを時間はかかりますが、非常に安く作ってくれるサービスを提供しています。

今はプリント基板以外にも、電子工作で利用する道具や機材などの販売の他、Groveと呼ばれる統一コネクタを利用したアクセサリの販売も行っています。

本社ホームページ(英語)
通販サイト「Seeed’s Bazaar」(英語)
日本法人ホームページ
プリント基板「FUSION」

プリント基板関連

電子工作を行う場合、最初に試行錯誤しながら回路を作っていきますのでブレッドボードと呼ばれるものを利用します。

ブレッドボードは穴がたくさん空いており、縦の方向は穴の下でつながっています。このボードを利用して部品やケーブルを穴に刺して実際に動かしてみて電子回路を完成させていきます。

回路が完成したあと、ブレッドボードのままだと部品が取れてしまいますので、ハンダで固定する必要があります。そのときによく利用するのがユニバーサル基板と呼ばれるもので、穴だけ空いている板で、ハンダを利用して固定していきます。

ユニバーサル基板は安くで使いやすいのですが、見映えが悪いのと、配線が結構大変です。そこでプリント基板と呼ばれるものを利用します。

金属を表面にコーティングした板に、回路の印刷を行います。その後に酸性の液体に漬け込むことで、不要な部分の金属を溶かし、印刷をした回路の部分だけ金属が残ったものに、必要な穴を開けたものがプリント基板と呼ばれるものです。

自分で作ることも可能ですが、薬剤の処理などが大変だったり、日本の業者に頼んだ場合でも穴の数に応じて金額が変わるなど手が出にくいものでした。今は世界中から注文をとってきて、1枚の大きな基板に複数の注文をまとめて製造し、あとで切り分けるという方法で劇的に安くなっています。

Groveシステム関連

GroveとはSeeed社が製造販売しているコネクタの規格です。共通のコネクタを利用して、ケーブルでつなげるだけで利用できるというコンセプトなのですが、利用には注意が必要です。

モジュールの対応電圧と、どのコネクタに差し込んで、どのプラットフォームで動くのかが、英語のWikiページをよく見ないとわかりにくいことです。

対応電圧

5V

一般的な電圧で、ほぼすべてのGroveモジュールで利用できます。

3.3V

小型基板などに利用されている電圧です。大体のセンサーなどに対応していますが、たまに5V専用のものがありますので注意が必要です。


Grove – Alcohol Sensor(5V専用)

対応コネクタ

Groveには利用するモジュールに応じたコネクタがあり、使い分ける必要があります。

アナログ

コネクタはA0などAからはじまり、複数ある場合には数字がカウントアップしていきます。5V基板の場合には0Vから5Vまでの電圧を計測する入力と、電圧を出力することができます。

出力の場合には、0Vか5Vの2段階で出力をするのですが、PWMと呼ばれる制御で、5Vの出力時間を変更し、LEDの光を強くしたり弱くしたりなどの制御ができます。ただしPWMはすべてのアナログピンで利用できるわけではなく、特定のピンのみの場合があります。

アナログで注意しないといけないのがプラットフォーム別サポートです。基本的にArduinoはサポートされているはずですが、ほぼ同じ環境であるLinkIt ONEで動くかは確認したほうがいいです。Arduino以外の環境はアナログ入力の感度があまり良くなく、出力の低いセンサーの数値を取得することができません。LinkIt ONEなど他の環境で利用できないアナログセンサーは、上記の表にない基板でも利用できない可能性が高いです。

デジタル

デジタルはボタンなどのON/OFFでの入力と、5V基板の場合には0Vから5Vまでの電圧を出力できます。

UART

UARTは高速通信をするための端子です。Wi-fiなどの無線モジュールなどで利用されています。

I2C

I2Cは通信速度は遅いですが、複数のモジュールと通信をすることができます。ディスプレイなどに利用されていることが多いです。モジュールごとにアドレスを設定し、アドレスに対して通信を行う仕組み上、同じモジュールを複数利用する場合には、個別にアドレスが重複しないように設定をする必要があります。

SPI

一番はやい通信方式ですが、Groveでは利用することができません。Groveは4ピンコネクタを採用していますが、SPIには4ピン以上が必要なためです。

Seeed社独自製品関連

Seeed社オリジナルの製品を作っており、有名なものだけ簡単に紹介します。

各種シールド

ArduinoやRaspberry Piなど各種基板に対応した、シールドと呼ばれるものを販売しています。シールドは簡単に機能拡張するためのボードのことであり、Seeedでは主にGroveコネクタを拡張するためのシールドを販売しています。

Arduinoの場合にはピンをコネクタに接続しているだけであり、Groveコネクタを利用しなくても、自分で配線することでGroveのモジュールを利用することができます。

Raspberry Piの場合にはアナログを利用することができないので、Groveシールド上で変換することでアナログモジュールが利用できるようになっています。

Wio Node

非常に小さい基板で、2つのGroveコネクタがあります。左右で利用できるモジュールが違うので注意してください。

Wio Nodeの特徴として、Wi-fiを利用して、インターネットに常時接続していることです。そして専用アプリのWio Linkを利用して設定することで、インターネット経由でセンサーの値を読み取ったり、ディスプレイなどに表示をしたりすることができます。

簡単にインターネット連携ができるようになりますが、インターネット経由でWio Nodeに対してAPI通信をする必要がありますので、どちらかというとプログラムを動かすことができるサーバーなどを持っている人向けの商品となります。

Wio LTE JP Version

SIMカードを使うことでLTE通信ができる基板です。国によってLTEの通信方式が違うので、4種類販売されています。日本で利用する場合には日本バージョンを購入しましょう。

Wio NodeはWi-fi環境が必要でしたが、Wio LTEはそのままインターネット接続することができます。環境的にもArduino IDEで開発することができますので細かい処理まで基板上で実行することも可能です。

コメント

  1. […] Groveのアナログの項目を参考にしてください […]