電気用品安全法(PSEマーク)について調べてみた

概要

ふと直流安定化電源にPSEって必要なのか気になったのでいろいろ調べてみました。ちまたで売っている直流安定化電源ってPSEマークついていないですよね?

結果的にPSEはものすごく複雑で、かんたんには判断できないものでした。

電気用品安全法とは?

上記に情報がまとまっています。基本的には電気用品とモバイルバッテリー等は安全性を確認してからPSEマークをつけて販売しないといけない法律になります。

対象電気用品

  • 特定電気用品(116品目)
  • 特定以外の電気用品(341品目)

上記の457品目のみが対象となります。この法律はキャッチオール規制ではなく、リスト規制ですのでこのリストにない電気用品はPSE対象外となります。

直流安定化電源の例

直流電源装置(交流電源装置と兼用のものを含み、定格容量が1kVA以下のものに限り、無線通信機の試験用のものその他の特殊な構造のものを除く。)

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/specified_electrical.html

さて、直流安定化電源は上記の電気品目にあてはまりそうに思えます。しかしながら直流安定化電源は「その他の特殊な構造のもの」に該当するため対象外だそうです。

えー、しかもなにがその他の特殊な構造のものかは規定がありません。総合的にみて判断する必要があるようです。

しかしながら、過去に検討した解釈例が公開されています。やったね!

理科実験用電源装置

 特定電気用品中交流用電気機械器具の「直流電源装置」として取り扱う。 
(理由)
 電気に関する専門的知識を有しない生徒等が実験時に使用するもので、かつ、汎
用性を有していることから、「直流電源装置」として取り扱うのが妥当と判断する。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20030623/rikajikken_dengensouchi.pdf

理科実験用電源は生徒が使うから直流電源装置になるのでPSE対象です。

電気技術者が使用する実験・検査用直流電源装置

専ら電気的知識及び技能を有する技術者が、電気機械器具の実験又は検査に使用する直流電源装置である。

①電圧・電流等の測定用計器を内蔵するもの
②電圧・電流可変型のもの

①及び②は、非対象として取り扱う。

(理由)
実験又は検査のために直流出力を要する場合の限られた使途のものであって、出力(電圧・電流等)を監視する計測器を内蔵するもの又は出力の微調整するための可変機能を有するものは、施行令上の「その他の特殊な構造」のものに該当するものとして取り扱うのが妥当と判断する。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20030326/powersupply_for_specialist.pdf

同じようなものでも電気技術者が使うものであればPSE対象外となります。ただし、メーターが内蔵していなくて、電圧や電流が固定のものは「その他の特殊な構造」にはあたらないみたいです。

機器組込用直流電源ユニット

非対象として取り扱う

(理由)
電子計算機等に組み込むために特別に設計・製作されたものとみなすことができることから、電気用品安全法上は非対象として取り扱うのが妥当と判断する。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20030526/kumikomiyou_chokuden.pdf

こちらは組み込み用のスイッチング電源とかですね。こちらはメーターもなくて、電圧なども固定ですので先程の「その他の特殊な構造」には当てはまらないですが、PSE対象外とのことです。

ただし、組み込んだ機材全体で再度判定をするので、一体化した電気用品がPSE対象かが重要になります。

パチンコ関連機器用直流電源装置

特定電気用品の交流用電気機械器具の「直流電源装置」として取り扱う。

(理由)
紙幣収納装置専用に直流電源を供給する装置であるが、「直流電源装置」として単独で機能するものであり、特殊な構造のものではないことから、「直流電源装置」として取り扱うのが妥当と判断する。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20030206/pachinkotou_chokuden.pdf

こちらは組み込んで利用するのではなく、島に設置してコネクタで接続しているので「直流電源装置」と判定されてPSE対象です。

機器組込用LED電源装置

特定電気用品中、交流用電気機械器具の「直流電源装置」として取り扱う。

(理由)
本製品は、機器組込用とのことであるが、電源基板部(器体底面)が合成樹脂でモールドされた状態で合成樹脂ケースに収められ、独立型の「直流電源装置」として完成されており、「機械器具に組み込まれる特殊な構造」に該当しないことから、「直流電源装置」として取り扱うことが妥当と判断する。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20080717/kikikumikomiyou_LED_PS.pdf

こちらは組み込んで利用していますが、底面が合成樹脂でモールドされていると「直流電源装置」になりPSE対象となります。普通の金属ケースとかのスイッチング電源はPSE対象外ですが、箱によってはPSE対象となるようです。

どういうこと?

基本的に一般人がさわる機材はPSE対象です。専門職の人が触る機材は特別な構造になっているはずなのでPSE対象外です。ただ、単体でも動く汎用品はPSE対象となることがあります。基本的にACアダプターはPSE対象なので、ACアダプター的な機材はPSE対象になります。

生徒が使う機材はPSE対象で、技術者が使う機材はPSE対象外ですがその間の機材はどっちなの?

その他の事例

すこし気になった事例を調べてみました。

オシロスコープは?

本装置は、波形整形用フィルターを内蔵し、負荷機器(クランプセンサー)からの入力信号を波形整形して出力する機能を有することから、クランプセンサーと一体不可分である。したがって、本装置とクランプセンサーを合わせて電気計測器として取り扱うことが妥当であり、非対象と判断する。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20051007/cramp_sensor_you_dengensouchi.pdf

クランプセンサー用電源装置の判定例ですが、電気測定器はPSE対象外なのでオシロスコープもPSE対象外と推測できます。

ワイヤレス写真ビューワー(ワイヤレス写真立て)

(理由)
本製品は、光源及び光源応用機械器具であるが、液晶画面に静止画を表示するものであることから、「ビューワー」に該当しない。また、照明を目的としたものでないことから、「電気スタンド」等にも該当せず、広告・宣伝に用いられないことから、「広告灯」にも該当しない。
したがって、「非対象」として取り扱うことが妥当と判断する。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20070817/wireless_shashin_viewer.pdf

すこし特殊なケースです。どうやら静止画のみだとPSE対象外ですが、動画を表示できると「ビューワー」扱いになってPSE対象。照明的な使い方ができる場合には「電気スタンド」になってPSE対象。広告・宣伝用であると「広告灯」になりPSE対象。

つまり、ものだけじゃなくて主とする用途によっても分類は変わってくるようです。

パソコンは?

パソコンはなぜかPSE対象外です。

基本アメリカから輸入するような製品は輸入障壁と怒られる可能性があるので、比較的ゆるいです。技適マークの表示ルールなども考慮している感じがあります。

ただし、パソコンでもテレビが見れるタイプで、パソコンの電源を切っている状態でテレビとして動くものはテレビ扱いになってPSE対象になります。複数の機能があって独立して動く場合には個別に考える必要があるようです。

PSE対象物がPSE対象外になる特例

電源コードセット及び部分品の取扱い(内規)について

(理由)
本件は、「DC機器とその電源に使用する直流電源装置及びその直流電源装置に使用する電源コードセット」の3点を同梱して輸入し、そのまま国内で販売するものであって、DC機器の取扱説明書が電気機器(直流電源装置)の取扱説明書を兼ねているとみなせる場合、当該電源コードセットは「汎用性のないもの」と解釈できます。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/file/97_faq/Dengen_cord_set_oyobi_bubunhin.pdf

これはPSE対象外の機材に付属する電源コードに対しての例外です。ACアダプターなどの電源コードはPSE対象ですが、PSE対象外の機材に付属する場合に特殊なコネクタを利用している場合か、他では利用できない旨を記述するとPSE対象外として扱うことができます。

  • ACコードがPSEマーク付きでない物が同梱されています(菊水電子工業株式会社)

上記などがそのFAQなのですが、「付属の電源コードを、他の機器の電源コードに使用しないでください。」って記述はこの規定のためにあったのですね。

まとめ

PSEはよくわかりません。解釈例はあるのですがPDFなので検索がしにくいです。サイトで検索すると他のものがひっかかり過ぎます。なのでPDFをすべてダウンロードして、pdftotextなどでテキストファイルに抜き出してから検索とかをすると便利です。。。

とはいえ、微妙な判定はできないと思いますので専門家に相談しないとPSE対象かは断定しにくい規定だと感じました。基本PSE付きのACアダプターを使って、機材自体のPSE判定を避けるテクニックが有効なんだなと思います。

コメント

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