書籍「LTspiceで独習できる!はじめての電子回路設計」を読んでみた

書籍感想

LTspiceメインの本としては久しぶりの新刊だと思います。最近の本ですのでMOS-FETの解説が入っていますね。

第1章 電子回路シミュレータについて

LTspiceのインストール方法と、サードパーティ製の半導体デバイスの入れ方などが書いてあります。このサードパーティ製の入れ方がちょっと癖がありますね。KiCadとかもそうなのですがローカルに入れるのより、プロジェクト内部に入れるのが主流になって欲しいなと思います。

この本ではプロジェクト内部に入れているので、ひと手間いれて呼び出している形になります。

第2章 LTspiceの基本操作

基本的な利用方法の説明ですね。全般的にはさっぱりしている説明なので、細かいことは使いながらになります。ちょっと機能が多すぎるので、基礎操作だけで一冊本ができそうなので仕方ないですね。

第3章 トランジスタ回路の設計

基本となるトランジスタ回路の解説です。このへんになるとLTspiceの解説ではなく、回路の解説がメインになります。エミッタ接地回路とコレクタ接地回路になります。増幅回路ではないスイッチ的な使い方は書いていないですね。

第4章 MOS-FET回路の設計

定電流回路、差動増幅回路の解説になります。ちょっと難しい回路ですね。こちらも単純なスイッチ的な使い方はありません。

第5章 OPアンプ回路の設計

こちらも定番の回路が解説されています。反転増幅回路、非反転増幅回路、フィルタ回路、正弦波発振回路、ヒステリシスコンパレータ、非安定マルチバイブレータです。

第6章 直流電源回路

個人的にはこの章がおすすめです。整流回路、リニア方式安定化回路、スイッチング電源回路をLTspiceで解析しながら説明しています。

第7章 LTspiceの進んだ利用法

こちらでは自動測定、素子値のばらつき、温度特性解析、周波数特性解析などを解析していました。

感想

んー、工学部電気電子工学科教授が執筆しているので授業用だと思います。ちゃんとアナログ的な回路を勉強したい人には非常におすすめです。反面トランジスタもMOS-FETもスイッチ用途にしか使わなかったり、OPアンプはボルテージフォロアだと思っている私みたいな人には難しすぎる内容だと思います。

ちゃんとLTspiceで解析したい人には非常にオススメです。なんとなく回路が動くかLTspiceで確認したいぐらいの人にも前半はオススメです。後半は電子回路の学習がメインなので、デジタル回路中心の人がLTspiceの使い方を学ぼうと思うとちょっと期待外れかもしれません。

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