概要
さいきんハンダゴテをいろいろ検証していましたので、選び方をまとめてみました。ある程度のものを使わないとハンダは難しいので、最低でもセラミックヒーターを利用しているものをおすすめします。
ハンダゴテ選びの要素
ヒーター
昔ながらのニクロム線のヒーターと、すばやくあたたまるセラミックヒーターがあります。現状ニクロム線ヒーターを使うメリットはありませんのでセラミックヒーターのものを最低限使ってください。
最新のものはIHヒータを搭載したものもあるようです。
温度調整
昔のハンダゴテは30Wのヒーターを常にオンしているようなもので、温度調整ができないものが主流でした。現在は温度調整機能付きのものが主流になります。
温度センサー
温度調整ができるものは当然温度センサーが搭載されていると思っていると裏切られます。安い製品に関してはヒーターのワット数を調整する機能になっています。そのため低い温度にした場合には単にあたたまる速度が落ちます。
温度センサーを内蔵している製品の場合には高めのワット数のヒーターで素早く温めて、規定温度になったらヒーターをオフする動きになっています。ただし、温度センサーを内蔵しているかはわかりにくいので注意してください。
温度表示
温度センサーを内蔵しているものでも温度表示があるものと、ないものがあります。昔の製品はないものが多いので、現在実際に何度になっているのかがわかりにくいです。なるべくなら温度表示があるものを選ぶのがよいと思います。
コントローラー
ハンダゴテを高性能化していくと、ハンダゴテ自体が大きくなってしまいます。そのためプロ向けの製品は温度設定や、温度表示などのコントローラー部分をハンダゴテから分離して外付けにしているものがあります。
ハンダゴテの種類
種類 | ヒーター | 温度調整 | 温度センサー | 温度表示 | コントローラー |
---|---|---|---|---|---|
昔ながらのハンダゴテ | ニクロム線 | なし | なし | なし | 内蔵 |
廉価版ハンダゴテ | セラミック | あり | なし | なし | 内蔵 |
現在の定番 | セラミック | あり | あり | なし | 内蔵 |
次世代の定番 | セラミック | あり | あり | あり | 内蔵 |
プロ向け | セラミック/IH | あり | あり | なし/あり | 外付 |
若干例外等もありますが、大きく分けると上記の分類ができます。
昔ながらのハンダゴテ
昔ながらのハンダゴテです。基本的に使わないでください。ダイソーで取り扱っているものもこのニクロムヒーターです。特徴として非常にあたたまるのに時間がかかります。
連続作業をするとどんどんコテ先の温度が下がるので非常に使いにくいです。現在利点がないので緊急時以外には使わないようにしたほうがよいと思います。
廉価版ハンダゴテ
Amazonなどで購入できるよくわからないメーカーのハンダゴテになります。セラミックヒーターと温度調整ができる必要最低限の機能と各種道具がセットになっているので、最低限これぐらいのランクのものを利用してください。
ただし、温度設定は実際にはヒーターの強さ調整のため、温度センサーを搭載していないと思ってつかってください。また付属しているコテ先の品質も多くの場合よくありません。
現在の定番
セラミックヒーターと温度センサーでの温度調整ができるハンダゴテになります。自分で基板設計をする場合や、大量組み立てをする場合にはこのランク以上を選択するのがよいと思います。
次世代の定番
個人的にはセラミックヒーターで温度センサーと温度表示がある温度調整可能なハンダゴテがこれからの定番になると思っています。とはいえ、まだ国産で有名なのは上記の機種のみになります。そして、欠点としてかなり太くて重くなっています。これは長時間使っていると負担になる可能性があります。
海外のものであれば上記のようにかなり小型になっています。とはいえ、国内だとまだ入手性が悪いのと、USB PD電源などを別途用意する必要があります。
プロ向け
ステーションタイプと呼ばれるものが従来からプロ向けとして存在しています。上記は温度センサーがありますが、温度表示がないタイプです。
上記はIHを搭載したモデルになります。とはいえまだIHは主流ではなく、実験的な商品になります。ヒーターは50Wで、これを超えると高周波利用設備許可申請の届出が必要になるので本当に工場用となります。
その他のハンダゴテ
ガス式ハンダゴテ
ガスを燃やすことで温めるガス式ハンダゴテです。屋外で利用する場合に使う事が多いのですが、熱風がでるのでホットブローのかわりに使うこともあります。
室内での電子工作だとあまり利用することはないとは思いますが、一本持っておくと嬉しいハンダゴテです。学生時代はちょっと憧れがありましたが、実際のところあまり使うケースは少ないはずです。
バッテリー式ハンダゴテ
上記は純正品でないので基本は利用しないでください。夢がありますが、おすすめしません。
おすすめ
難しいです。
やっぱり定番としては白光さんのものがよいと思います。コテ先もかなりいろいろ選ぶことができますし、利用者も多いです。
Amazon限定の透明タイプも販売しています。
公式サイトだと透明なピンクとかゴールドとシルバーもあります。
エヴァンゲリオンとのコラボモデルもありますが、さすがにいろいろ特注品なので高くなっています。
ただ個人的には温度表示は欲しいのですが、PX-280はちょっと太いんですよね。触って選びたいのですが、ハンダゴテを触って選べる場所ってほとんどないと思います。ただしPX-280を実際に使っている人の評判はいいです。FX600よりちょっと高いのと、当初は秋月電子さん以外だとさらに高かったのですが、いまは価格も落ち着いてきています。
コテ先もAmazonでもそれなりに充実しているようです。ただ残念ながら触ったことがないので評価できていません。
インサートナット用とか変わり種も用意されているんですよね。気になるんですがコテ先とか一式揃えるとそれなりの価格になるので手が出ないでします。
私自身は中国製のものを利用していますが、入手性の問題などがありますので気軽にはおすすめできません。あとは高品質のコテ先を入手できるかなどの問題もありますのでおすすめは国産ハンダゴテで、安くしたい場合には国産メーカーのコテ先と、それ互換の中国製のハンダゴテをおすすめします。
コテ先はかなり重要ですので、上記の記事などで使いたいコテ先を選び、その形のものが安定的に入手できるのかを確認してください。
たとえば上記はFNIRSIさんの製品ですが、コテ先の規格が独自です。
この手の短くて使いやすいタイプも国内だと安定的にコテ先を入手できない可能性が高いです。
900MかT12タイプのコテ先互換性があればヨドバシカメラなどで取り寄せができますので、本体は安いものを使っていても最低限の性能は確保できるはずです。
(追記)業務利用でのポイント
ハードに利用する場合にはさらなるポイントがあるようです。
コテ先の交換しやすさ
通常のハンダゴテはネジかナットでコテ先が固定されています。工具が必要ですし、利用直後だとあつすぎて作業することができません。
ステーションタイプの一部には専用のコテ台が付属してきます。上記の写真のようにコテ先の途中に出っ張りがあり、そこをひっかけて抜けるようになっているものがあります。抜いた直後のものは熱いのですが、冷えたら後ろに差し込んであげることで次回利用時はそのまま装着することができます。
この他、最初から2本同時に使えるものもあります。ただし、USB PDタイプとかであれば本体は比較的安いので、複数台用意して特定のコテ先をつねにつけたままにする荒業もありだと思います。
コテ先との距離
USB PDタイプがわかりやすいのですが、このハンダゴテは結構持つところとコテ先に距離があります。ある程度短いほうが使いやすいので上記のT12タイプのコテ先からT65タイプの少し短いものがUSB PDタイプでは主流になってきています。
また上記のUSB PDタイプはナット固定なのでコテ先交換がかなり面倒です。とはいえ、実際に触りながらハンダゴテを選べる店ってほとんどないですよね? コテ先も含めて触るとかなり違いがわかるのですがパッケージに入っている状態だと非常にわかりにくいと思います。
ESD保護
たとえばgootさんのエントリー向けステーションタイプでは通常モデルとして上記があります。
黒いモデルは静電対策モデルになります。
さらに新型はリーク電流・絶縁抵抗測定端子がついています。
とはいえ、ESD保護はハンダゴテだけじゃなくて環境全体から対応をする必要があると思います。
まとめ
ハンダゴテはいろいろ過渡期になってきている気がします。gootさんがPX-280で温度表示付きのハンダゴテを発売したとことで、いろいろ時代が動いていると感じます。白光さんはステーションタイプのプロ向けが中心なので、下手に安いモデルを販売できないジレンマもあると思います。
ハンダゴテ自体はヒーターでコテ先を温める機能なので、比較的安いものでも実用は可能です。コテ先は国産が品質で飛び抜けていますが、ランニングコストなどを考えると中国製のものはバランスが取れているものと、品質も価格も安いものにわかれています。
実際のところ基板組立工場などは中国に大量にあるので、急激に品質があがっている分野だと思います。
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