シャント抵抗での電流測定

概要

上記で検討していたシャント抵抗での電流測定を実験してみました。

構成

ESP32 DevKitの3V3端子とGND端子を利用して実験。電源周りにキャパシタが搭載されているので実際の電流値ほど正確ではありません。

ハイサイド

電源とESP32の3V3端子の間にシャント抵抗を入れたのですがほぼ変動が見られませんでした。ESP32側にキャパシタが入ったいたりと回路的にきれいに測定できないです。そしてハイサイド側をオシロスコープで計測する場合には演算などが必要なのでちょっと面倒です。

ローサイド

ESP32のGND端子と電源のGNDの間にシャント抵抗を入れての計測になります。こちらはオシロスコープでも計測しやすかったです。

テスト

#include <WiFi.h>

void setup() {
  WiFi.begin("TEST", "TEST");
  delay(3000);
  WiFi.disconnect(true);
}

void loop() {
}

LDOの検証などで作った接続できないSSIDに接続するスケッチを利用しました。

電源側のPPK2だとこんな波形になります。0.5Aぐらい流れています。

上記のオシロスコープでためしています。

100mΩシャント抵抗

オシロスコープで確認してみると。。。あれ非常にノイジーですね。プローブのGNDを接続し忘れていました!

GNDを接続するとすこし改善されましたがまだノイジーです。波形的には似たものが取れていますね。このノイズを減らしたいと思います。

PicoScopeの場合にはローパスフィルタがありますので、とりあえず1kHzでかけてみました。それっぽい感じになりましたね。ちなみに100mΩのシャント抵抗なので100mVが1Aに相当するので50mVで0.5A相当です。なんとなくスケールはあっていそうです。

カスタムプローブで100mΩのシャント抵抗を設定したいと思います。100mVで1Aなので1Vは10Aになります。そのため「y = 10x + 0」の設定でアンペアが直接表示されるはずです。

これは結構いい線いっている気がします。PPK2がなくても100mAのシャント抵抗をローサイドにつければそこそこきれいな波形が取れました。

波形を拡大するとこんな感じです。

PPK2だとこんな感じです。現在の設定だとPPK2の方が拡大したときに綺麗かもしれません。

50mΩシャント抵抗

50mΩのシャント抵抗なので50mVで1Aになります。スケールはあっていそうですね。おっと、レンジを下げてあげないと精度がでないですね。

もうすこしきれいに取れました。

50mΩ用のプローブ設定に変更してA表示にしました。

波形を拡大しました。レンジがあるところなので100mΩでも50mΩでもそれほど変わらないですね。

20mΩシャント抵抗

ほぼかわらないですがノイズ量が増えていますね。

ノイズは増えましたが、流れている電流はシャント抵抗の抵抗値が低いほど多く測定されている気がします。PPK2だとMAX0.6Aぐらいで、100mΩでMAX0.6A強、50mΩでMAX0.7A、20mΩでMAX0.9Aぐらいの数値になっています。

オシロスコープの性能的に難しい10mΩとかも準備しておくんだった。。。

別のオシロスコープで試す

上記でためしてみました。

なんとか取れていますが、やっぱりノイズが酷いです。

マニュアルを確認したところHigh resolutionモードにすると上記のようなデータが取れました。ただ数値がおかしいかな?

情報を表示しましたが、1.5Aぐらい流れている事になっています。波形はそれっぽいのですがちょっと微妙な状況になりました。

100mΩシャントに変更しました。こちらは77mVなので0.7A前後と正しいレンジな気がします。このオシロスコープはレンジを小さく設定できるように見えて、内部的な精度はそこまでないような気がします。。。

電流センス・アンプ INA180を使ってみる

INA180A2IDBVR Texas Instruments | C192764 - LCSC Electronics
INA180A2IDBVR Texas Instruments UShttps://www.lcsc.com/product-detail/Current-Sensing-Amplifiers_Texas-Instruments-INA180A2IDBVR_C192764.html.309 - Single SOT-23-5 Current-Sensing Amplifiers ROHS datasheet, price, inventory C...

上記を使ってみました。ゲインは50倍になります。100mΩのシャント抵抗を使うと1Aで0.1V出力されますので、それを50倍して5Vになります。

約3Vぐらい出力されています。5Vで1Aなので3Vは0.6A前後ですので、スケール的には問題なさそうです。

ただし、データを見てみるとかなり荒れています。INA180のゲイン50倍の帯域は210kHzになります。若干帯域が足りていないと思われます。

INA180を利用する場合には瞬間的な消費電力ではなく、マイコンなどを利用してある変動の少ない消費電力を計測する用途には使えそうです。

とはいえ、100mΩのシャント抵抗に1A流すと50倍の5Vが出力されてしまうのでESP32にはちょっと怖いです。流れる上限電流を考えてシャント抵抗をもう少し減らした方が安全かもしれません。ただし、アンプの電源電圧を3.3Vにすればそれより高い電圧はでないので、5Vを間違えて繋げないようにすれば大丈夫そうです。

まとめ

PicoScopeがかなり使いやすいです。下位モデルでもアプリはフル機能使えるのは便利ですね。そして中古ですが定価20万円以上のミドルレンジなのでメモリ長なども問題ありません。

そして廉価版のオシロスコープだとやっぱり辛かったです。ローパスフィルタとかが使いにくかったり、トリガーまわりが甘くなります。

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上記とかの最近出た12ビットモデルとかだともっときれいに取れそうですが、さすがにオシロスコープを増やすのはやめたいと思います。

ただし、電流測定をする場合にはPPK2の手軽さが飛び抜けていました。5V/1Aまでの制限はありますが、その範囲内であればPPK2を使うのが鉄板だと思います。

シャント抵抗だと配線がふえたり、基板に最初から実装したりと誤差とかでやすいので、PPK2の方が楽です。実験再現性も電源端子とGNDにPPK2を接続のほうがシンプルです。

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