電子工作における電波法・技適周りの現状把握(2020年4月)

概要

きれいにまとまっている資料があったので、それを参考にしながら現状把握をしてみました。間違っている点もあると思いますので、実際に利用する場合には、個別に調べ直してみてください。

参考資料

miproの資料はいろいろあって、読んでいるだけで楽しいです。「無線通信を使用する製品の輸入・販売 」や「輸入品の安全確保の手引き 2020」などが直接的に関係あると思います。

通信手段別の概要

赤外線通信

赤外線や紫外線を使った通信は電波法の範囲ではありません。電磁波の中でも、特定の周波数のものだけが電波と呼ばれており、赤外線などの光系はその範囲外になります。

ワイヤレス充電

通信ではありませんが、電磁波を使ってエネルギー伝搬をしているので電波法の範囲になります。ただし50W未満は自由に使えるようです。現状出回っている商品は5Vの1.5Aで7.5W程度の製品のため、問題ありません。

BluetoothやWi-Fiなどの無線通信

電波法の範囲になり、許可を受ける必要があります。技適マークがついている製品か、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度を利用する必要があります。訪日外国人などへの短期的な特例はありますが、説明は省きます。

詳細については、後ほど解説したいと思います。

携帯電話

携帯電話も国内で普通に使うためには技適マークが必要となります。ただし、外国で有効な電話番号を有している携帯電話であれば使える特例もありますが、説明は省きます。

微弱無線

ごく弱い電波を使った機器です。製品的にはトランシーバーやラジコン、インターフォンなどが該当しますが、これが一番厄介でわかりにくいです。

Amazonなどで販売されている正規代理店経由でない外国製のトランシーバーなどは、ほぼ電波法に違反していると思います。特定出力以下であれば問題ないのですが、外国と基準が違うので国内で使うと違法になる例が多いようです。

RFIDリーダー

RFIDはタグ側とリーダー側があり、タグ側はバッテリー内蔵していない普通のタグであれば微弱無線の範囲内です。

リーダー側が問題で、RFIDはタグに無線で電力を供給しており、思ったより出力が強いものが多いです。そのため微弱無線の出力を超えているか、そもそも測定していないので正式な出力がわからない装置ばかりになります。

確実に電子工作で使えるものは「FeliCa リーダー・ライター RC-S620S」ぐらいだと思います。後ほど詳しく解説したいと思います。

ドローン用無線

一部のドローンでは微弱無線ではなく、出力の強い無線を利用して操作を行ったり、ドローンで撮影した映像を送信している場合があります。

無線免許の他に、無線局免許を取得する必要があります。

その他無線局

無線免許の他に、局免許を取得する必要があります。特別な規定で除外されていない限り、ここに属すことになります。個人レベルでは使うことは少ないと思います。

技適の概要

一般的によく使う無線通信では技適が必要となることが多いです。技適が適用されている端末は、無線免許や無線局免免許が不要だったり、手続きが大幅に省略される制度となります。

技術基準適合証明(電波法第38条の6)

番号が長く、ハイフンがないものが技術基準適合証明となります。全数動作確認をして、問題がない場合に個別の番号が割り当てられます。

たとえば、上記のLoRaゲートウェイなどの商品になります。数が少ない場合には比較的安価で取得できますが、番号をみると販売数がわかってしまう欠点?があります。

工事設計認証(電波法第38条の24)

複数の機材をサンプルで抜き出して、問題がない場合に取得できる技適になります。一定以上の数を製造する場合に、設計から製造まで安定して作られていることを担保する意味合いがあります。

技術基準適合証明より、工事設計認証の方がお得そうに見えるのですが、製造工場の情報やより細かい資料が必要になり取得費用がかかります。一定数以上販売しない場合には技術基準適合証明を個別に取得したほうが安くなります。

技術基準適合自己確認(電波法第38条の33)

コードレス電話など、他に影響を与えにくいものに対しての特例措置として、簡易的な検査の技適もあります。

しかしながら、100件ちょっととあまり使われていない制度です。

登録外国適合性評価機関(MRA法※第29条)

海外で認証済みの端末に対して日本でも使えるようにするための制度です。

技術基準適合証明と工事設計認証の両方ありますが、数は圧倒的に工事設計認証が多いです。

技適マークについて

左側が技適マークが表示されているM5StickCで、右側が技適マークの表示されていないESP32-PICO-KITです。

もちろん、右側はそのままでは日本で利用することができません。

技術基準適合証明

技術基準適合証明の技適の場合には、全数動作確認をしますので、確認をした時点で技適マークのシールなどがはられます。そのシールはられている限りにおいて、技適の適応を受けます。

工事設計認証

工事設計認証は量産前の製品で受けるため、技適が通ったあとに量産し、その後技適マークを貼り付けることが多いです。

技適マークは識別できる大きさで、本体に印刷やシールではりつけ、もしくは画面上に表示するなどの表示が必要です。本体に表示できない場合に限り、外箱やマニュアルなどに表示することも可能です。

技適マークに関しては、外から見える必要はなく、無線部分をモジュール化してある場合には、モジュール部分に表示されていれば問題ありません。

ノートパソコンなどは多くの場合モジュールの表示で、マニュアルやケースに技適マークの表示はありません。

技適マーク付き機材の分解について

基本的な考え方として、分解や改造によって無線の機能に影響を与えることはしてはいけません。とはいえっても、全体を金属ケースにいれてアンテナの感度を落とすなどはOKだと思います。

改造をしていなくても、無線部分への改造が可能な場所にたいして分解する行為も禁止されています。分解することによって、技適取得した場合の性能が担保されているかがわからなくなるためです。

この項目については個別に確認しないと、厳密には大丈夫かわからないことが多いです。なるべく分解や改造をしないほうが無難です。

携帯電話の場合

工具がなく外せる裏蓋などは分解しても大丈夫ですが、ネジなどの分解をすると技適適応外になります。修理業者などもある程度正規のところ以外で修理をした場合にも同様です。

パソコンの場合

パソコンの場合には多くの場合mini PCI Expressなどを利用して、無線LANカードを接続しています。技適自体は無線LANカードが取得しているので、パソコン自体の分解は問題有りません。

ただし、アンテナ部分はおそらく無線LANカードとセットで技適を取得しているので交換することはできません。モジュールだけ購入して、アンテナを自分で取り付ける場合にも、技適を取得したときと同じアンテナである必要があります。

セットで売っている場合にも、そのアンテナが技適を取得したときと同じアンテナかを確認する必要があります。

ただし、小型パソコン等で外装に技適マークがある場合には注意が必要です。モジュールではなく、ロジックボードなどに直接無線を実装している可能性があります。この場合には携帯電話と一緒で、分解すると技適の効力がなくなる場合があります。ケースバイケースなので、ユーザーが増設できるものが分解できるところにある場合は、シールドなどで守られている場所に無線が実装されているので外装の分解までは問題ないはずです。

ESP32モジュール

モジュール全体で技適を取得しているので、これ以上分解はできません。モジュール自体にも技適マークが表示されている必要があります。ESP32などは技適取得モジュールと、未取得のモジュールがあるので注意してください。

アンテナ外付けの場合には、無線LANのときと同じく技適を取得したときに使っていたアンテナ以外は使えませんので注意してください。個人だとなるべくアンテナ内蔵のモジュールを利用したほうが安全だと思います。

ESP32開発ボード

技適を取得しているモジュール以外の部分は、無線に影響を与えない範囲であれば、分解や改造しても問題ありません。

ただしESP32以外の無線モジュールを搭載している場合があるので注意してください。LoRaなどのモジュールは多くの場合、技適を取得していないものが搭載されています。

M5Stackなどの無線モジュール内蔵機器

M5Stackには無線が利用できるESP32が内蔵しています。

上記が対象の技適になります。写真が添付されていないので、該当FCCをさがします。

上記がFCCになります。External Photosをみると以下の写真がありました。

M5Stackの場合には、既存のESP32モジュールを使わずに、自社設計のESP32をのせています。そのため個別に技適が必要になっています。

アンテナの下にあるのがESP32部分ですが、鉄のボックスでシールドされています。シールドにはノイズを防ぐ効果がありますが、無線部分を改造できないように保護する機能もあります。

内部で無線部分がシールドされていて、本体の分解がはじめから想定されているものに関しては、分解して無線に影響をあたえる部分以外は改造しても技適的には問題ありません。

M5StickC

こちらも内部にESP32が使われていますが、M5Stackとは扱いが違います。

該当の技適です。こちらは資料が添付されています。しかし内部の写真がありません。

再度FCCの資料を参考にします。Internal Photosが下になります。

こちらの写真を見る限り、アンテナの右側にあるのがESP32のチップで、シールドがありません。つまりM5StickCはケース自体が改造防止のシールドとしての機能があるので、基本的には分解してはいけないことになります。

シールドもケースもない機材

基本的にはシールドかケースにより、無線部分の改造ができなくしてある機材がほとんどですが、最近シールドもケースもない機材がでてきています。

Raspberry Pi Zero Wなどがわかりやすいですが、この場合には表面実装なので改造が難しいだろうということで技適が取得できているみたいです。

この場合、どこまで改造できるかはかなり難しくなります。ピンヘッダがついていないので、自分ではんだづけするのはおそらく許容されている気がしますが難しいところです。

今の機材は基本的には表面実装で、無線部分の改造が難しくなっているはずです。そもそも無線部分の改造を行う人も少ないので、このへんは少し緩和されてきているのかもしれません。

技適の運用はケースバイケースなので、基本的には分解や改造はしないほうが好ましいです。

機材別技適の注意点

携帯電話網でのデータ通信

携帯電話網の場合には、技適の他に利用している世代と、バンドを意識する必要があります。

2G(GSM・GPRS)

第2世代は日本ではサービスを行っていませんので利用することはできません。海外だと非常に安いモジュールがありますが、使えませんので注意してください。

3G

ドコモだとFOMAとよんでいた第3世代です。現状新規契約ができなくなってきているので、そろそろ終了の準備をしているサービスになります。

これから新規で採用するのはやめたほうがいいと思います。

4G(LTE, Cat.4)

現在主流の第4世代です。ドコモはXiというサービスで展開していましたが、現状はPREMIUM 4Gという名称で展開しています。

現状のところ、電子工作で使いやすそうな技適付きモジュールはありません。非常に高いものが多く、多くの場合LTE Wi-Fiルーターなどのテザリングで接続したほうが安くなります。

LTEにはいろいろな速度に応じたカテゴリーがありますが、通信モジュールの場合にはCat.4などと表記されている場合が多いです。

LPWA(LTE-M, NB-IoT)

LPWAは低電力で通信が可能で、携帯電話網以外の通信もあるのですが、携帯電話網ではLTE-M(Cat.M1)とNB-IoTがあります。

LTE-MとNB-IoTは両対応の技適付きモジュールが多いので、そこの区別はあまりする必要がありません。ただし、普通の携帯電話網とは別に構築されているため、特別な契約が必要となります。

ドコモは法人向けに限定販売しているので、KDDIかソフトバンクなどと契約する必要があり、万枚単位で契約しないと安くない料金体系となっています。

個人だとソラコムさんのサービスを利用している人が多いはずです。

もともとは省電力で、低価格を目標とした規格なのですが、現状個人で使う限りにおいてモジュールは安いですが、月額費用的には普通のLTEより高くなると思います。

もう少し普及してくれるとありがたいのですが、なかなか普及は進んでいないようです。

携帯電話網以外の通信

Sigfox

LPWAの一種で、LTE-Mなどに近いです。携帯電話網ではありませんが、ほぼそれに近い形態になっており、通信するためには月額必要が必要になります。

ただし、比較的技適付きモジュールが安く、初年度無料の場合が多いのでLTE-Mなどよりは手が出しやすいかもしれません。ただし、サービスエリアは都市部などの偏っていますので注意してください。

LoRaWAN

単にLoRaとある場合にはLoRa変調を使った、端末間の通信になります。LoRaWANの場合には、中央サーバーと決められたプロトコルで通信をします。

LoRaWANの場合には、基地局となるゲートウェイを自分で準備するか、公開されているゲートウェイに接続する必要があります。

公開されているゲートウェイはいつなくなるかわからないので、基本的には自分で準備することになります。

ゲートウェイを自分で準備すると、まだまだ高いので個人向けだと手が出にくいです。

その他の通信機器

920MHz無線など、免許不要で使えるモジュールがあります。マイナーなため、人が多い場所でWi-Fiなどが混雑しても、速度低下がなく利用できるなどのメリットがあります。

端末間通信などで使うぶんには、比較的安価のモジュールがあります。

RFIDリーダー

工場で使うような大型のものは無線局として申請が必要です。個人で使うようなNFCなどの場合には微弱無線となり、技適の範囲外になります。

ただし、微弱無線は実際に測定して、規定以上の出力がでていないかを確認しなければなりません。

たとえば、M5Stack社では上記のRFIDリーダーユニットを販売していますが、日本代理店のスイッチサイエンスさんでは販売されていません。

USB接続以外のNFCで、正規に個人が購入できる装置はいま1つしかないと思います。

技適マークのない無線機器を利用するためには?

技適未取得機器を用いた実験等の特例制度を使うことで、最大半年まで実験として利用することができます。

しかしながら、いろいろ申請するための条件があります。基本的にはFCC IDがかかれている機材以外は申請できないと思っていた方が安全です。Wi-Fiの5G帯に対応している端末も避けたほうが無難です。

この右側のESP32-PICO-KITは実際に例外申請したボードですが、このボードには読みにくいですが、FCC IDが表示されています。

実はこのボードは技適を取得済みです。しかしながら正しく表示しているボードがまだ販売されていないため、正規では日本で利用することができません。

特例申請については、上記のブログを参考にしてください。

技適マークがない、もしくはシールが剥がれた

その機材は日本で利用することはできません。技適マークは製造から販売までの間で、ただしく管理されていることを証明するので、基本的には技適申請者がはりつける必要があります。

しかしながら、裏蓋などの剥がれやすい場所に貼り付けている端末などがたまにあります。

本体表示が困難な場合等の表示として、箱や説明書に表示することも認められています。とはいえ、この規定はどこまで許されるのかは微妙です。保険として外箱とか説明書に技適マークがあったほうが嬉しいのですが、そのマークが本当に有効な技適マークなのか、転記扱いの効力がないマークなのかは個別相談になりそうな雰囲気です。

安心して使える製品を購入するためには?

スイッチサイエンスさんか、ソラコムさんの取り扱いデバイスから選びましょう。この2社で取り扱いがない製品は多くの場合日本で使えない可能性が高いです。

型番にJPがついている製品にも注意しましょう。

上記の端末は技適を取得していますが、LTEやLoRaの場合には特定の国向けに利用する周波数をカスタマイズしている場合が多いです。

海外サイトなどから購入した場合には技適がないものもまじっているので注意しましょう。また、技適対応と書いてあっても技術基準適合証明が取得可能など、その製品が即日本で使えるのとは限らないので注意してください。

まとめ

技適周りはこまめに更新されているので、最新情報を総務省なので確認しないといけません。とくにスイッチサイエンスさんで取り扱いがない商品は気をつけて調べてみてください。

技適なしですが、店頭や通販などで販売されているものは山程あるので、店頭で使えないものは販売していないだろうって思っていると、日本で使えない場合があるので注意してください。

5件のコメント

  1. 過去に自分で作ったM5Stack用のモーターモジュールに関して適法でないとのご指摘があったので”総務省 電波環境課 認証推進室”に確認しました。
    最終的に「認証取扱業者が想定している使用法の範囲内だと考えられるため、問題ないと存じます。」との見解を頂いたのですが、聞く組織、担当によって見解がさまざまでした。

    M5Stackの追加モジュールを自作して。意図していなくても内部にアンテナの機能になるものが存在して利得が変わってしまうのであれば違法だと指摘する方もいらっしゃると思います。

    RaspberryPi Zero Wもケースが無くて基板自体がアンテナになっているので登場した当時は議論の対象でした。いまも明確なガイドラインは存在していないと思います。

    なにが言いたいかというと技適の関連法令は曖昧な部分が多くて難解です。総務省の内部でも部署や人によって判断が異なる状態です。なのであまりTPO的な資料をまとめない方がよいかな~と個人的には思います。ネット資料があらたなルールとして1人あるきしてしまう可能性もあります。

    電波機器を他人に使わせるスクールなどに関しては、自己責任ではすまないので、個別に総務省に確認をとった方が良いと思います。

    1. ご指摘ありがとうございます。
      技適は難しいですよね。。。
      ちょっと説明が足りていないところがあったと思いましたので、追記してみました。

      1. ありがとうございます。
        炎上し易いのが技適の最大の問題だと思います。
        バトルになってコミュニティが荒れるのはあんまり見たくないです。

        ラズパイ、micro:bit、M5Stackはエンジニアを育てる箱船でもあるので
        みなさんの創作活動の足枷にならないような制度になって欲しいです。

        1. 技適は原則はかなり厳しくて、個別問い合わせで個人レベルだと見逃してもらえることがあるって感じかもしれませんね
          個人的には中身触る以前に、電源まわりも怖くてブログにはしていません

  2. 補足:
    ”TPO的な資料”は
    ”技適マーク付き機材の分解について”の箇所です。

    たとえばですがモジュールタイプでも外付けアンテナとセットで認証をとっていたりすることもあるので。アンテナは何をつけてもOKと曲解する可能性もなくもないです。いろいろケースバイケースなのでまとめない方が良いのではと老婆心ながらコメントした次第です。

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