概要
2020年11月27日にM5Stack社よりM5Paperが発売されたので購入してみました。すこし触ってみたので商品を紹介したいと思います。
商品
- M5Paper(スイッチサイエンス)
- M5Paper ESP32 Development Kit(公式ストア)
- M5PAPER ESP32 DEV KIT 4.7″E-INK(Digi-Key)
日本での代理店はスイッチサイエンスさんなので、スイッチサイエンスさん経由で購入するのをおすすめします。どうしてもすぐにほしいって人はDigi-Keyさんだと送料無料で5日以内ぐらいには到着すると思います。
パッケージは最近の薄型ですね。そしてUSBケーブルなどの付属品は一切ありません。説明書的なのもなかったと思います。
裏側はこんな感じです。
電源を入れる前の画面です。出荷前に全数動作チェックをしているようでして、その画面が残っています。
本体裏側です。ここにしかない情報があったりして重要なのですが、まだ詳しく読み込めていません。
最初に入っているファクトリーテストの設定画面です。言語を選択できますが、フォントがないと指定できません。
フォントを入れた画面です。入れ方は後ほど解説します。
ちなみにM5Burnerから最新版のファクトリーテストを動かすとタイムゾーンが指定できます。+8時間なので、デフォルトは中国時間になっています。
日本語フォントを入れる
最初に準備しておいたほうがいいのは、日本語フォントです。32GまでのマイクロSDを準備して、FAT形式でフォーマットしてからfont.ttfというファイルをコピーすることで読み込んでくれます。
IPAexフォントのダウンロード
- IPAexフォント(文字情報技術促進協議会)
どんなフォントでもよいのですが、TTF形式のフォントを準備します。私は無料で比較的自由に利用できるIPAexフォントを利用しました。
上記からダウンロードして、ゴシックか明朝のフォントをfont.ttfと名前を変えてからマイクロSDカードにコピーします。
M5Paperをリセット
SDカードを抜いたり、さしたりした場合にはとりあえずリセットします。本体の裏側にあるリセットボタンを押して、数秒すると画面が黒くなってから再起動をするはずです。
ちなみにM5Stack CoreInkは裏側の左端にリセットがあったのですが、M5Paperは裏側の右端にリセットボタンがあるので、なかなか場所を覚えられません。
起動したときにマイクロSDがささっており、font.ttfが入っていた場合には設定画面から日本語や中国語を選択することができるようになります。他のアプリでもこのファイル名を参照しているようなので、とりあえず入れておいたほうがいいと思います。
最新版のファクトリーテストに入れ替える
M5Stack社のページにM5Burnerという、ファームウエアを転送してくれるアプリケーションがあります。これを利用して、最新版のファクトリーテストを転送し直した方がいいと思います。
また、他のファームウエアを転送してしまって、あとで元に戻したい場合にも利用できます。最新版の場合はタイムゾーンの設定がありましたので、時間がずれているのがなおると思います。
ただし、ファクトリテストは完成しているアプリではないので注意してください。PDA的なアプリですがサンプル実装なので、これだけですと何もできません。
Wi-Fiの設定
ファクトリーテストからWi-Fiに接続することができます。この設定はあまり意味がないのですが、一度時間合わせをする必要があるので、設定をおすすめします。
時間合わせ
Wi-Fiに接続している状態ですと、インターネット経由のNTPサーバーから時間を取得して、内部のリアルタイムクロックであるRTCの時刻設定をしてくれます。RTCはバッテリーで保存されているので、一度合わせれば、それほど時間がずれないとは思います。
他のアプリを動かす
現時点ではファクトリーテストの他に、ToDoと電卓がM5Burnerに登録されています。ToDoはMicrosoftのサーバー上のToDow表示するので、M5Paperの画面にQRコードを表示してスマホなどで読み込んで、アプリ連携を許可するなどと結構手間が多いです。MicrosoftのToDoを使っていない人は、アプリ連携などは面倒なので、あまりおすすめしません。
電卓はシンプルな機能なので、触ってみることをおすすめします。とはいえ、電子ペーパーなので反応速度は遅いです。厳密にはタッチパネルはそれなりの精度なのですが、画面書き換え中にタッチしたものは無視されてしまいます。タッチイベントを別タスクでキューに入れて、遅延して処理するとかをしないと個人的には信頼できる電卓にはならないと思います。
ファクトリーテストをビルドする
上記にスケッチはアップされているのですが、なかなかビルドは面倒です。まずはArduino IDE環境ではなく、PlatformIO環境ようなのでVisual Studio Codeなどで環境を準備する必要があります。
Arduino IDE用改造スケッチ
- https://github.com/tanakamasayuki/M5Paper_FactoryTest
なので、Arduino IDE環境でビルドできるスケッチに改造してみました。PlatformIOに依存している場所をすべて書き換えて、Arduino IDE用にしています。ファイル数が多いのであまり実用性はないですが、一応ビルドできます。
M5Paper用ライブラリのインストール
Arduino IDEのライブラリマネージャには登録申請はされているのですが、まだ登録が完了していません。そのため、現状は上記のGitHubからZIPファイルでダウンロードして、Arduino IDEでZIP形式のライブラリをインストールをする必要があります。
もう少ししたら、ライブラリマネージャからインストールができるようになるはずです。。。
ボード設定をM5Stack FireにしてPSRAMをEnabledにして有効化してください。
[env:m5stack-fire]
platform = espressif32
board = m5stack-fire
framework = arduino
upload_speed = 2000000
monitor_speed = 115200
board_build.partitions = default_16MB.csv
build_flags =
-DCORE_DEBUG_LEVEL=4
-DBOARD_HAS_PSRAM
-mfix-esp32-psram-cache-issue
余談ですが、上記がM5PaperのファクトリテストのPlatformIOの設定ファイルです。PSRAMが利用できるM5Stack Fireで開発をしていますね。そして転送速度が2000000(2M)です。M5StickCが1.5Mだったので高速化していますね。
lib_deps =
https://github.com/m5stack/M5EPD
本当は、上記のようにライブラリを指定しておくべきです。M5Stackの中の人はlibフォルダに手動でダウンロードしているのでしょうが、PlatformIOを使うのであればプロジェクト内部ですべて依存関係を処理しておいたほうが好ましいはずです。
その他のスケッチ例
M5EPDライブラリの中に複数のスケッチ例が含まれていますので、そちらも触ってみるといいと思います。PSRAMが無効になっていると動かないスケッチ例が多いので注意してください。
M5Stack CoreInkとの違い
小型のCoreInkとM5Paperは両方とも液晶ではなく、電子ペーパーを搭載している共通点はありますが、方向性がかなり違います。
CoreInkは長時間駆動のモニター用端末などに適しており、それほど複雑な操作は苦手だと思います。とはいえ、横にある上下で動かせるボタンがあるのでBluetoothキーボードにして、プレゼン資料の操作などには適していると思います。
M5Paperはタッチパネルを搭載しているので、比較的入力がしやすいです。画面も大きいのでソフトウエアキーボードも実装しやすいですね。現状のライブラリは描画中は入力を中断しているので、そのへんをきれいに実装すると使いやすくなりそうですね。
まとめ
予想よりは安く販売されたと思いますが、8800円と絶対額では高額だと思います。個人的にはちょっと手が出にくい商品だと思います。開発環境も整備されていませんので、もうすこし様子見のほうがいいかもしれません。
タッチパネルの反応も悪くないですし、電子ペーパーもきれいです。機能を考えると安いとは思いますが価格を考えると使いみちが困ります。。。
また、背面に磁石があり、平らな面の鉄などにはくっつけることができます。自宅の冷蔵庫は緩やかなアールがあったので、ずるりとすべり落ちましたので注意してから貼り付けてみてください。冷蔵庫の横面などの平らな面では問題ないと思います。
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