概要
ESP32-S3を搭載している開発ボードが増えてきましたが、ちょっとクセがあるものが多いので選び方を紹介したいと思います。
一覧
メーカー | ボード名 | 価格 (円) | Flash | PSRAM | 画面 | USB-Serial | USB-OTG | OTG電源出力 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Espressif | ESP32-S3-BOX-Lite | 6,180 | 16MB | 8MB | 2.4インチ | ✕ | ○ | ✕ |
Espressif | ESP32-S3-DevKitC-1-N8 | 1,840 | 8MB | – | – | △ (micro) | △ (micro) | ✕ |
M5Stack | ATOMS3 | 2,376 | 8MB | – | 0.8インチ | ✕ | ○ | ○ |
M5Stack | ATOMS3 Lite | 1,386 | 8MB | – | – | ✕ | ○ | ○ |
M5Stack | M5Stamp S3 | 1,122 | 8MB | – | – | ✕ | ○ | ○ |
スイッチサイエンス | ESPr® Developer S3 Type-C (USBシリアル変換ICなし) | 2,640 | 16MB | 8MB | – | ○ | ✕ | – |
スイッチサイエンス | ESPr® Developer S3 Type-C | 3,740 | 16MB | 8MB | – | ✕ | ○ | ✕ |
Sunton | ESP32-1732S019 | 1,603 | 16MB | 8MB | 1.9インチ | ○ | ✕ | – |
Freenove | ESP32-S3-WROOM CAM FNK0085 | 2,045 | 16MB | 8MB | – | ○ | ○ | ○ |
あとで説明をしますが、最初に一覧を表示します。Suntonは画面サイズ別に似たようなボードがありますが1.9インチのみ表示しています。
1.9インチ以外は上記に情報があります。
あとESP32-S3には技適を取得しているモジュールがありますが、生産時期によってマークがないものが混じっています。海外から直接購入すると在庫の古い技適マークなしモジュールの製品が届くことがあるので注意してください。
そのほかにもモジュールを利用していないボードも海外にはいろいろあるので、技適マークを確認してからの購入をおすすめします。Freenoveは今のところ技適マーク付きしか見たことがないですが、Suntonは一部技適無しモジュールの製品が混じっているようです。時間が経過することで在庫が入れ替わって技適マーク付きモジュールが出回ってきますが注意してください。
用途別
画面が欲しい
メーカー | ボード名 | 価格 | Flash | PSRAM | 画面 | USB-Serial | USB-OTG | OTG電源出力 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Espressif | ESP32-S3-BOX-Lite | 6,180 | 16MB | 8MB | 2.4インチ | ✕ | ○ | ✕ |
M5Stack | ATOMS3 | 2,376 | 8MB | – | 0.8インチ | ✕ | ○ | ○ |
Sunton | ESP32-1732S019 | 1,603 | 16MB | 8MB | 1.9インチ | ○ | ✕ | – |
画面搭載ボードはまだ少ないです、M5Stack CoreにS3が搭載されてくるはずですので選択肢が増えると思います。
LILYGO® T-Display-S3も技適を取得したので、今後日本で発売される可能性があります。まだ技適マーク付くをみたことがありませんので、リストには追加していません。
ESP32-S3-BOX-Liteは公式から出ているPSRAM搭載機としてはよいのですが、価格的に高いのであまりおすすめはしません。現時点では日本で手に入るATOMS3か、AliExpressでのみ販売している黄色基板になります。コスパ的には黄色基板は抜群ですが、AliExpressのみでの販売なのと届くまで結構時間がかかるのがネックになります。
PSRAMが欲しい
メーカー | ボード名 | 価格 | Flash | PSRAM | 画面 | USB-Serial | USB-OTG | OTG電源出力 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Espressif | ESP32-S3-BOX-Lite | 6,180 | 16MB | 8MB | 2.4インチ | ✕ | ○ | ✕ |
スイッチサイエンス | ESPr® Developer S3 Type-C (USBシリアル変換ICなし) | 2,640 | 16MB | 8MB | – | ○ | ✕ | – |
スイッチサイエンス | ESPr® Developer S3 Type-C | 3,740 | 16MB | 8MB | – | ✕ | ○ | ✕ |
Sunton | ESP32-1732S019 | 1,603 | 16MB | 8MB | 1.9インチ | ○ | ✕ | – |
Freenove | ESP32-S3-WROOM CAM FNK0085 | 2,045 | 16MB | 8MB | – | ○ | ○ | ○ |
なんとEspressifの公式DevKitがリストにありません。製品的にはあるのですが、日本で販売していないので技適的にグレーです。比較的新しい製造モジュールは技適マークが入っているはずですが、技適マークがついていない世代のモジュールがついてくる可能性があります。
SuntonとFreenoveはかなり安いのですが、AliExpressでの販売となりますので注意してください。時間が待てるのであればおすすめのボードとなります。
また、製品的に2MBと8MBのPSRAMがあり、接続方法が違うので利用時のオプション選択が変わるはずです。S3のPSRAMは有効化の方法が搭載メモリ量で変わるので注意しましょう。
カメラが欲しい
メーカー | ボード名 | 価格 | Flash | PSRAM | 画面 | USB-Serial | USB-OTG | OTG電源出力 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Freenove | ESP32-S3-WROOM CAM FNK0085 | 2,045 | 16MB | 8MB | – | ○ | ○ | ○ |
今後増えてくるはずですが、現状はFreenoveの1種類しかありません。製品的にはLILYGO® T-Camera S3がモジュールを搭載しているので、技適マーク付きの可能性がありますが在庫次第なので確実ではありません。
USBホスト開発をしたい
メーカー | ボード名 | 価格 (円) | Flash | PSRAM | 画面 | USB-Serial | USB-OTG | OTG電源出力 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Espressif | ESP32-S3-BOX-Lite | 6,180 | 16MB | 8MB | 2.4インチ | ✕ | ○ | ✕ |
Espressif | ESP32-S3-DevKitC-1-N8 | 1,840 | 8MB | – | – | △ (micro) | △ (micro) | ✕ |
M5Stack | ATOMS3 | 2,376 | 8MB | – | 0.8インチ | ✕ | ○ | ○ |
M5Stack | ATOMS3 Lite | 1,386 | 8MB | – | – | ✕ | ○ | ○ |
M5Stack | M5Stamp S3 | 1,122 | 8MB | – | – | ✕ | ○ | ○ |
スイッチサイエンス | ESPr® Developer S3 Type-C (USBシリアル変換ICなし) | 2,640 | 16MB | 8MB | – | ○ | ✕ | – |
スイッチサイエンス | ESPr® Developer S3 Type-C | 3,740 | 16MB | 8MB | – | ✕ | ○ | ✕ |
Sunton | ESP32-1732S019 | 1,603 | 16MB | 8MB | 1.9インチ | ○ | ✕ | – |
Freenove | ESP32-S3-WROOM CAM FNK0085 | 2,045 | 16MB | 8MB | – | ○ | ○ | ○ |
がんばればどの開発ボードでも利用できるはずです。ただし結構使いにくいボードがあるので注意してください。
USBコネクタは2つ搭載していたほうが楽
書き込みで利用するUSBシリアルと、USBホストに利用するUSBポートは別のほうが圧倒的に使いやすいです。ただしUSBコネクタを2つ搭載しているボードはESP32-S3-DevKitC-1-N8とESP32-S3-WROOM CAM FNK0085しかありません。そしてDevKitの方がmicro USB端子なので使いにくいです。
ATOMS3などOTGしかない場合には、書き込みとUSBホストが同じポートを使い分けることになります。そのため書き込んでから、USBをキーボードなどに繋ぎ変える必要があり結構面倒です。

M5Stamp S3など、外部にUSBシリアル書き込み機を接続することで分離することが可能です。ただし、純正書き込み機は3.3Vしか電源がないので別途5Vを供給する必要があります。
OTG電源出力がないと自前で結線する必要あり
ESP32-S3のUSBは、自身がUSBマウスなどになるUSBデバイスと、外部のUSBキーボードを利用するUSBホストの機能があります。USBホストでは外部のUSBキーボードに電源を供給する必要がありますが、USBデバイスとしてPCとして接続する場合には電源を入力する方向になります。
そのため、保守的な設計をした場合にはUSBホスト用の電源出力を行わない場合が多いです。これはUSBシリアルからの電源入力と、USBデバイスとしてPCに接続した電源入力がバッティングするためです。この2つのポートは別のPCに接続することが可能であり、USB電源の電圧差があると逆流をする危険があります。

純正DevKitの場合にはUSBホストとして利用した場合、電源出力がありませんのでボードにあるUSBポートではなくて、ピンから自前で結線をしてあげる必要があります。
もしくは、外部給電が可能なOTGケーブルを利用して5V電源を供給する必要があります。ちなみにDevKitはmicro USB端子なので非常に使いにくいです。

現状は上記のように自作基板をつくってUSBコネクタを配置してしまいました。これは使いやすいのですが、DevKit自体の価格と自作基板の手間があるのでおすすめはしません。

現状USBホスト開発機としてはFreenoveが一番使いやすいです。ただし、コネクタの幅が狭いので通常のOTG変換が利用できません。
他の基板だと上記のようなOTG変換アダプタを利用してType-Cから通常コネクタに変換しています。この変換コネクタはダイソーなどの百円ショップでも入手可能です。
上記のような延長ケーブルと組み合わせることでも大丈夫ですが、結構な値段がします。一応百円ショップでも取り扱いがあるようですが、私の近くの店舗では見つかりませんでした。
一般的には上記のような延長タイプのケーブルが必要になります。
もしくは上記のようなL型コネクタがあると便利です。
まとめ
FreenoveのESP32-S3-WROOM CAM FNK0085が使いやすいと思っていますが、Amazonでまだ販売されていません。もう少ししたら販売されると思いますので期待して待っています。
M5Stack CoreのS3がでると状況が変わってくると思いますが、現状はまだ選択肢が少なく圧倒的に普及しているボードがありません。個人的にUSBホスト開発が好きなので、そうするとUSBが2つあるFreenoveか、自作基板と組み合わせた黄色基板あたりを買いまししたいと思っています。
開発完了したものを動かすものとしてはATOMS3 Liteがコスパ的に適していそうです。
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