ブラウザで基板設計できるEasyEDA入門 その2 回路図

概要

前回は概要を説明しました。今回は実際に回路を作りながらツールの使い方を解説していきたいと思います。

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前提知識として、上記の書籍を読んでいるぐらいの基礎知識を対象としています。この本は非常に役に立つのでKiCadを使わない人でも読んでおくと基本的な知識が身につくと思います。

はじめに

前回やりましたが、基板の構成を事前に決めておきます。今回作るのは既存の開発ボードを拡張する基板にします。

対象開発基板

上記の基板になります。

こちらが対象の開発ボードの表面です。

裏面はこちらです。

構成を考える

今回は単純にUSB端子を増設したいです。この開発ボードはUSBシリアルのチップを搭載しており、ESP32-S3内蔵のUSB端子は未使用の状態です。その未使用の端子を外に出すのが目的になります。

ESP32-S3は他のUSBデバイスを利用するUSBホストモードと、ESP32-S3自体がデバイスになるUSBデバイスモードがあります。そのためUSB端子のメスを使うUSBホストモードと、オスを使うUSBデバイスモード用に2つのUSB端子を追加します。

https://www.espressif.com/sites/default/files/documentation/esp32-s3_datasheet_en.pdf

ESP32-S3のデータシートによるとGPIO19がUSBのD-、GPIO20がUSBのD+になっています。この端子をUSBコネクタに接続させることでUSBが使えるようになります。

開発ボードのピンを確認すると縦にしたときの左下に出ているのがわかります。

構成物を確認

  • USBコネクタ オス(USBホスト用)
  • USBコネクタ メス(USBデバイス用)
  • ピンソケット(12ピン) x 2

USBコネクタ以外に本体と接続するピンソケットが必要になります。今回は左右とも12ピンでした。

配置を考える

今回は画面を上にして、その下にピンソケットで接続する形にしたいと思います。紙にメモでもいいのである程度の配置図を考えてから設計したほうがいいです。細かいところは設計時にいろいろ変わるのでそれほど厳密でなくても大丈夫です。

ただ、上記の図は決定的に意図していた配置から間違っていました。。。

実はすでに前回注文をしていて、実物が手元にあります。上のエクセルで作ったメモから上記のものができあがりました。懸念していた左側のUSBコネクタですが、なにやら凹んでいます。

製造のときにここに外形の線があったので、削ってくれたみたいです。この凹みがなかったら干渉してコネクタをつけることができませんでした。これは助かったのですが、今回の失敗はそこではありません。

実装して、開発ボードに接続してみました。あれなにかイメージと違う。。。

横から見た図です。あっ、USBコネクタの位置関係が逆です。開発ボードにType-Cのコネクタがありますが、そちら側にUSBホスト用のメスコネクタを配置して、ケーブルは同じ側にまとめたかったのです。USBデバイスは反対側にはみ出ていますが、基本はUSBホスト用として使う予定なので未実装にしたものも準備予定でした。

コネクタ部分です。こちらを両方メスコネクタに統一したかったのです。

オスコネクタを実装すると、開発ボード付属のケースには入らなくなりました。ちなみに四隅に穴が空いていますが、ピンソケットで接続して剛性に不安があった場合にはなにか間に入れる予定で設置しています。いまのところ補強しなくても大丈夫そうな強度がありました。

設計をする

今回すでに試作までしていますが、この拡張基板の改良版を回路図から作っていきたいと思います。

プロジェクト作成

Pro版で進めていきたいと思います。プロジェクト名には日本語が使えますが、自動作成のリンクは中国語読みで自動的に入力されます。

無難に英語で作ったほうがいいと思います。

できました。左側にプロジェクトのファイル一覧があり、回路図とPCBが準備されています。下側にはいろいろな部品一覧で右側にプロパティー表示です。

回路図を開く

Schenatic1をダブルクリックすると回路図が開きます。画面的にはあまり変わりませんがメイン画面に回路図がでました。あとフローティングでVCCやGNDのツールがありますね。

部品を追加する

部品は上記のComponectアイコンになります。

メニューからだと「Place」の「Device」になります。すでにショートカットと名前が違いますね。

開くと大量のデバイスが表示されます。Stdバージョンだと選択できる部品が減るみたいですが、Proの場合には大量に表示されます。

重要なのは一番上にある「LCSC Electronics」と「EasyEDA」のボタンです。選択できないように見えますが選択できます。これでLCSCにある部品全部と、EasyEDAに登録されている部品を切り替えることができます。

大抵のものは一緒なのですが、「LCSC Electronics」にあるものでも「EasyEDA」では利用できない部品があります。上記のように「Waiting」と表示されている部品は利用することができません。「Place」と書かれている部品を選択する必要があります。

ちなみにWaitingになっているものは依頼をすれば月1個までは無償で登録してくれるサービスもあります。右上にある「Request New Part」から依頼方法がわかります。

svg-battery
Require New Part

上記ページですが、基本はメールで依頼するようです。

おすすめの画面はEasyEDAを選択して、カテゴリを選択をしてから右上にあるリスト表示をします。すると部品は表形式になるのですが、選択している部品の回路図と3Dとフットプリントと実物写真が下に表示されます。

「Click to Preview 3D」が表示されていない場合には3Dデータがありません。上記のは3Dデータがないようですね。商品写真もないものがあるので注意しましょう。

この画面は非常に便利なのですが、ソート機能は信頼してはいけません。このソートは全体でのソートではなく、画面上に表示されているもののソートとなります。

ソートして一番安いものを探そうと思っても、画面上の150部品からしかソートしません。すべて1画面に絞り込める場合にはこれでもよいのですが、大量に部品がある場合にはこのソートは信頼してはいけません。

ピンソケットの追加

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部品としては上記を想定しています。

左側にCommonly Libraryがあります。抵抗とかはここからも追加可能です。

この中にHDR-F_2.54_1x2P(Through)があります。右上にある下矢印をクリックすることでバイエーションが選択可能です。

1×1から1×20が準備されています。

もしくは検索窓から12Pなどとすれば絞り込めます。Std版はこのような部品追加がメインのはずですが、Pro版ではおすすめしません!

2×6とか普通に利用する部品がありませんよね。先程の大量の部品からなるべく選択するようにしましょう。

まずは「LCSC Electronics」でpinとカテゴリを検索します。Connectorsがあったのでこれを選択します。

カテゴリを選択しないと上のフィルタが表示されないので、最低限なにかを選択する必要があります。サブカテゴリがたくさんある場合にはなるべく下まで選択したほうが好ましいです。

Pin Headersまで選択すると更にフィルターの項目が増えました。えーっと、ピンソケットがありません。。。どうやらピンソケットはLCSCだと「Female Headers」にあるようです。

出てきました。ここから絞り込んでいきます。

  • Packege(P=2.54mm)
  • Pitch(2.54mm)
  • Number of Holes(12P)
  • Holes Structure(1x12P)

ざっとみると上記の項目等が絞り込み対象な気がします。しかしながら不用意な絞り込みはかなり危険なので注意しましょう。まずPackegeですが下の方に「Plugin, P=2.54mm」などもあって不用意に選択すると変な部品しか残らない可能性があります。

ピンソケットやピンヘッダの場合にはHoles Structureの1x12Pなどでまずは絞り込むのがおすすめです。

38アイテムに絞り込めました。Applyボタンを押さないと更新されないので注意してください。この時点のソートはLCSCにある在庫数です。概ね在庫が多いものから選択するのが無難です。この時点では3番目の製品はピッチが2.0mmなので注意してください。表面実装のものなども混じってきます。

部品をクリックするとLCSCの商品ページに飛びます。データシートなどを確認して問題ないかをチェックすることができます。ただこのままだと3Dデータがあるかわかりません。

EasyEDAに切り替えました。12個の部品なので安心して利用することができます。LCSCの在庫数か、組み立て工場であるJLCPCBの在庫数でソートして、一番上の部品で問題なさそうですね。ただ、その下の部品も在庫数が同じぐらいあって、価格が約半分です。

実際のところピンソケットは品質あまり変わらないのでどれつかっても構いません。そして今回はLCSCで購入するのではなく、手持ちの部品を使う予定なのでここの価格は影響しません。ただなんとなく安いほうを使ってみたいと思います。

Placeボタンを押すと画面上に設置可能になります。今回2つ使うので2つ設置してみました。

USBコネクタメス

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製品としては上記を想定しています。

USBコネクタは鬼門で、対象を絞り込むことができません。汎用部品のようでかなりの種類がありますので1ページの150種類以内に絞り込むのが非常に難しいです。

ERROR: The request could not be satisfied

そこでLCSCのサイトで直接検索します。

条件としては「Type-A」、「USB 2.0」、「4P」、「Female」で絞り込みました。

在庫数であるAvailabilityでソートして、在庫が多いものから確認していきます。一番多いのは垂直に利用するコネクタですね。

本当はMonting Styleで絞り込めばいいのですが、Plug-inとRight-Angleに分散している可能性があります。その他変な条件とか、設定無しの部品があるのでなるべく絞り込まないほうが好ましいです。

上から形をみていくとこのへんの部品が目的に近いです。ただ同じぐらいの在庫ですが、価格がぜんぜん違いますね。安い方を確認してみます。

開いたあとに重要なのがLCSC Part番号です。この番号で部品の特定が可能です。下にあるEasyEDA Modelを押してフットフリントの確認をします。

回路図とフットプリントはちゃんとあるようです。ただしこれだと3Dデータがわかりません。

部品選択画面に戻り、「C456018」で検索することで該当の部品がすぐに特定できます。ちゃんと3Dモデルもあるようですね。

https://datasheet.lcsc.com/lcsc/1912111437_SHOU-HAN-AF-90–WJDG_C456018.pdf

データシートも確認です。穴が6個あるタイプですね。

https://akizukidenshi.com/download/ds/useconn/USB-4AF103BS-Rev_C.PDF

上記が秋月の部品にあったデータシートです。あれ、固定穴とピンの間が秋月のは2.60mmですが、選んだのは2.71mmですね。

https://datasheet.lcsc.com/lcsc/1912111437_Ckmtw-Shenzhen-Cankemeng-U-USBAR04P-F002_C386736.pdf

高かった方のデータシートを見てみます。こちらも2.71mmですね。

https://akizukidenshi.com/catalog/g/gC-11551/

もう一度秋月のページを確認するとデータシートが2つあります。

https://akizukidenshi.com/download/ds/useconn/USB-4AF103BS.pdf

こちらは2.71mmでした。これで大丈夫そうですね。

設置しました。

USBコネクタオス

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秋月さんだと上記しかありませんでした。でも手持ちの部品は穴タイプではないので他のものを使います。

端的にいうと、KiCADではデフォルトで入っているUSB Aコネクタの種類が少なく、上記の穴が空いていないタイプをいままで使っていました。

オスは少ないので直接検索しようとしましたが「Gender」が公とよくわからない表示にあっているのでやっぱりLCSCで検索します。

こちらはちゃんとmaleが選択可能なので、メスのときの検索画面でmaleに絞り込みを変えることですぐ検索できました。

検索結果の上位です。MOLEXのものが数が多いですね。ただ他のものに比べて高いです。これは高いけれどいい製品なので在庫数が多いような気がします。

モデルを確認します。大丈夫そうですね。

https://datasheet.lcsc.com/lcsc/1811131824_MOLEX-480372100_C136453.pdf

データシートのフットプリントです。今回は手持ちの部品で、比較元となるデータシートがないので現物を見ながら正しい確認します。

設置しました。

3Dモデルの注意点

前回の画像ですが、3Dモデルはあればよいのではありません。

このようにめり込みの確認にできるかはモデルによって違います。真ん中のモデルだと基板に干渉しているかは実はわからないので注意が必要です。実際に使う部品と、画面上でわかりやすい部品は違うのでどんな部品を使うかはわかて考える必要があります。

完全に好みなのですが、上記のようにシールドの5ピンが何も書かれていないシンボルは嫌いです。ちなみにメスで選んだのがこんな感じ回路図ですね。

高かった方のメスはこんな感じで、こっちのほうが嫌いです。

こちらはピン番号すらないですね。

回路図の配線

とりえあず、わかりやすいUSBコネクタの部分に配線します。シェルとかVCCまわりは本来は保護回路を入れたほうがいいのですが、個人の開発では省略する場合が多いと思います。

操作方法なんですが、まずは端子に直接GNDなどを接続してから、移動することで線を引っ張る方法がおすすめです。もちろん近くに置いて、自分で線をひっぱることも可能です。

USB端子にはネットラベルをつけてあげます。通常は上のツールバーにあるNのアイコンを使うか、キーボードショートカットが便利だと思います。

こちらもNET2があるD+の場所に設置すると、上のNET1の場所までぴょんと伸びます。

この状態からNET名を変更してあげます。

これでUSBコネクタ側は完了です。ただ、この配線は好ましくありません。開発ボードのUSBコネクタから給電を受けている際に、右側のUSBオスコネクタからも給電が入ってしまいます。電圧に差があると逆流する可能性がありますので通常はダイオードなどをいれて一方方向にするのが好ましいです。

今回はソルダージャンパを使って、通常は電源入力を受けないようにしておきたいと思います。

KiCadだと上記みたいなやつですね。

検索すると2ピンと3ピンのジャンパしかありません。

一番左をSystemからPublicに変更します。LCSCに販売していない部品じゃないものはSystemには登録されていません。ただPublicにはやまほどいろいろあるので選ぶのが大変です。

「Jumper_2_Open」で絞り込みました。これが普通な感じですが、その2つしたにも同じものがあるように思えます。。。

これで通常はオープンで導通していない電源ですが、ハンダで導通することでUSBオス端子から電源供給も可能になります。

次はピンソケット側です。

この図がわかりやすいですね。ただこちらはボトムビューで裏から見た図なので注意してください。

配線が完了しました。3V3は利用せずに、✕マークで未使用なのを明示しておきます。

完成物

こんな感じで回路図が完成しました。

番号のつけ直し

通常実行する必要はありませんが、複数の部品を試したときなどに部品番号がずれることがあります。

Designの中にある「Annotate Designator」になります。KiCadだと絶対に実行する必要がありますが、EasyEDAだと部品を配置した瞬間に採番されます。

気をつけないといけないのは、デフォルトは番号を振っていないものだけ振り直します。そして自動採番なので何も変わりません。Re-annotate All Designatorsを選択して全部番号を振りなおす必要があります。

DRCチェック

メニューからか、一番したにあるDRCタブから「Check DRC」を実行します。

たとえば、未使用のピンに✕をつけ忘れるとエラーが表示されます。

まとめ

KiCadと比べるといい面も、悪い面もあるソフトです。部品ライブラリがWeb側にあるので個人の環境を汚さない反面、個人にノウハウやデータが貯まらないジレンマがあります。

部品リストとかは個人で育てて使っている人が多いので、この手のWeb側で管理してる部品ライブラリは間違っていたり、細かいところが使いにくいものがあったりします。

ただ、個人的には最初に触るCADとしては結構使いやすいかなと思っています。ただし、部品の選択が非常に難しいのでそこは標準的な部品リストなどがほしいところですね。

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