概要
最近は少し配線をするようになってきたので、配線コードと圧着端子などの関係を調べ直してみました。
補足資料
一般的な内容は上記のfumiさんの記事が参考になります。
配線コードの太さとコネクタの関係
ワイヤーゲージ | 断面積 | 電流 | 裸圧着端子 | フェルール | QI | XH | PH | HY |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AWG30 | 0.05sq | 1 | ||||||
AWG28 | 0.08sq | 1.0A | 1 | 1 | 1 | |||
AWG24 | 0.20sq | 2.5A | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |
AWG22 | 0.30sq | 3.0A | 1 | 1 | 1 | 1 | ||
AWG20 | 0.50sq | 5.0A | 1 | 1 | 1 | |||
AWG18 | 0.75sq | 6.7A | 1 | 1 | 1 | |||
AWG16 | 1.25sq | 11.7A | 1 | 1 | ||||
AWG14 | 2.00sq | 16.7A | 1 | 1 |
詳細はのちほど説明する予定ですが、よく使う線の太さと各端子等のざっくりした対応になります。端子もメーカーなどにより対応している範囲に違いがありますので注意してください。
コードの太さの関係
コードの太さは流せる電流を表します。太いほど大量の電流を流すことが可能で、抵抗値も低くなります。欠点としては太いほうが価格が高くなります。また、ピッチが狭いコネクタなどは配線が太すぎると物理的に入らないので、ある程度細い線も必要になります。
一般的にコードの太さはAWGかsq(mm2)で表されます。AWG24の場合には0.2mm2の断面積のコードとなります。一般的にはAWGを使う事が多いですが、断面積のsq表示の場合もあります。
エーモンはsq表記で、AWGも併記している場合があります。
協和ハーモネットはAWG表記のみになります。
太さの選び方
いろいろな選択肢があると思いますが、一番最初の表をみて電力はAWG18(0.75sq)、電力を含む配線はAWG24(0.2sq)、データ配線はAWG28(0.08sq)を私は選んで見ました。
電力用AWG18(0.75sq)
太めの配線が良さそうな場合にはとりあえずこれを使っています。車用なので電子工作向けではないのですが安くて入手性がよいコードとなります。一般的には0.5sqでも問題ないと思いますし、1.25sqの方がよく使われるかもしれません。
一般配線用AWG24(0.2sq)
エーモンのコードもありますが色のバリエーションが少なく、ダブルコードが黒白となってしまいます。
よく使われているのは上記のようなコードだと思います。
長いものを買おうとすると10mで千円ぐらいとなります。
その上は100mで二千円ですね。本当はリールに巻いてあるのがほしいのですが、これはちょっと手がでにくいです。
秋月電子さんだと20mで600円とかなり手頃なものがあります。ただし、黄色がないんですよね。
あとはこの手のセットになっているものになります。ただ個別の色を補充できないのでちょっと使いにくいです。少し試験用に買ってみたので、届いたら別途紹介したいと思います。
その他データ用AWG28(0.08sq)
どうでもいい線はジャンパーワイヤーを使っています。いろいろな長さをもっていて、使い捨てに近い感覚で使っています。使い回すと断線する可能性があるのでなるべく新しいものを使うのがおすすめです。
コネクタ
大電流用XT60
大電流を流す用途だと圧着ではなく、はんだ付けですがXT60がよく使われています。サイズ違いでXT30とXT90もあります。基本的には赤黒の属性が確定しており、バッテリー系でよく使われているものになります。
大電流はこれがおすすめなのですが、個人的に大電流はあぶないのでそもそもオススメしません。。。
裸圧着端子
上記のような丸型やY型端子で、スイッチング電源などに接続するときに利用します。
上記でいろいろ検討していますが、絶縁付きよりは裸圧着に絶縁キャップの方が圧着が失敗しにくいと思います。

上記が対応している太さと圧着端子の対応ですが0.75sqと0.2sqは同じ端子では利用できません。0.75sq用は対応している圧着ペンチが少なかったりします。
フェルール端子
家庭内にある100Vとかの配線は単線を使うのですが、電子工作の場合には撚(よ)り線を使う場合が多いと思います。これはより線を圧着して、一本の棒状の端子にしてくれます。単線の配線だと差し込めばロックされて抜けなくなるコネクタなどがありますので、固定し易いように圧着します。

この左側になります。

電子工作の場合にはネジ止めなどの端子台に固定するときにハンダをつけたり、フェルール端子を使うとしっかり固定ができると思います。
この端子の問題なのですが、基本は太い線向けの端子となります。上記のセットだとAWG22(0.3sq)からAWG10(5sq)となります。
圧着ペンチも上記のだとAWG20(0.5sq)からになります。基本安いものは細いものには対応していません。また、圧着する形が丸に近い六角形のものと、四角の2種類あります。電子工作の場合には端子台に固定するので四角形のものでも問題ないと思います。一般的には丸い単線を差し込んで固定する端子台にいれるときに利用するので、六角形の方が好まれます。ただし、安い六角形よりは同じ価格の四角の方が安定して圧着できる気がします。
平型端子・ファストン端子
自動車などに使われていることが多いのですが、電子工作でも使うことがあります。エーモンさんのものと海外のものだと微妙に違うようなので端子と圧着ペンチの組み合わせは気をつけたほうがよさそうです。

上記の右側の端子で、ロッカースイッチや電源まわりなどでこの端子が使われています。

上記のように差し込めば固定されますのではんだ付けよりかんたんに利用可能です。
QI・Dupont端子
ジャンパーワイヤーなどのコネクタになります。非常によく使われるのですが正式名称がありません。日本だとQIと呼ばれることが多いですが、日本ローカルの名前になります。
海外だとDupontコネクタと呼ばれることが多いですが、コネクタ自体の名前ではなくDuPont社をさすのでややこしいです。AliExpressだとDupontで検索するのがよいのですが、LCSCやDiGi-Keyだと正式名称がないので非常に検索しにくいです。
XHコネクタ
よく使われているコネクタになります。ケーブルが壊れたときに修理する際などに利用するのでワンセットもっていると便利です。
PHコネクタ
XHより少し小さいPHコネクタです。こちらもよく使われていますのでもっていると便利です。
HY2.0コネクタ
Groveコネクタに使われているものになります。ケーブルを自作することはあまりなく、市販品を利用したほうがよいと思います。
PHとXYは2ミリピッチのコネクタのため、利用できるコードの太さに制限があります。一応AWG24(0.2sq)が利用できるはずですが、ぎりぎりのサイズだと思われます。
ワイヤーストリッパー
コードを加工する場合に被覆をむく必要があります。
昔は電工ナイフとかを使っていましたが、いまはワイヤーストリッパーを使うほうが一般的だと思います。
はさむ系
一般的なこの手の形がよく使われています。線の太さに応じて使う場所を変えるのですがどうしても線に傷が付きやすいです。線の太さにあわせた場所を使っても少しずれると線心にダメージがいきます。このタイプも持っていますがあまり使わなくなったかもしれません。
オート調整なし
今はこれをメインで使っています。長さのガイドをあわせてから挟むだけで被覆がむけます。ただし、若干線心にダメージが入ります。厳密な利用には適していないと思いますが、通常利用であれば問題ないぐらいだと思います。
オート調整あり
一般的にはこちらのタイプの方がよく使われています。基本はオートなのですが、線材の太さや硬さにあわせて調整ができるダイヤルを搭載しています。ただし、私は面倒なので調整をしないと思ったので、最初から調整なしモデルを利用しています。
選び方
高いものであれば線心にダメージがはいりにくいと思いますが、基本的にダメージがはいるものとしてつかってください。そして大型のものは太い電線に対応しているので、逆に電子工作で利用するような細い線を苦手としているので注意が必要です。
例えば上記は結構よさそうなのですが、0.2sqからの工具となります。ジャンパーワイヤーなどは0.08sqぐらいになりますので利用できません。
圧着ペンチ

いろいろ持っていますが汎用品と専用品にざっくり分かれています。特定のものに特化したものの方が使いやすいですが、その分圧着ペンチの種類が増えてしまいます。
汎用電工ペンチ
最初の一本は電工ペンチがよいと思います。裸圧着端子、平型端子、ワイヤーストリッパー、ネジの切断などいろいろなことができます。ただし、汎用品なので全体的な精度はいまいちです。その分価格は安いので予備として1本あると便利だと思います。
裸圧着端子用
圧着ペンチには端子に対応した純正品と、他のメーカーから出ている互換品があります。基本的に純正品は数万円するのですが、こちらのニチフの純正圧着ペンチだけはかなり安価で購入可能です。
一般的には電光ペンチでも問題ないと思います。また、一般的な裸圧着端子は1.25sq以上の太いものになるので対応している太さには注意してください。
フェルール端子
フェルールは端子的に特殊なので専用工具が必須となります。上記のように端子付きの安いものを揃えておくのがよいと思います。可能であれば0.5sqからのものではなく、0.25sqぐらいからの小型に対応しているものがよいと思います。
平型端子・ファストン端子
平型端子はオーブンバレル型という端子で、線心とケーブルの二箇所を圧着する必要があります。個別に圧着する場合には汎用の電工ペンチで問題ありません。
同時圧着とよばれる圧着する場所が2箇所並んでいて、同時に圧着できるペンチがあります。サイズ別にあるのですが、平型端子で使われるのは中型用になります。こちらを使うと一回圧着すると線心とケーブルの両方がきれいに圧着可能です。
便利なのですが、歯が分厚くてどこまで差し込んでいるかがわかりにくいので圧着の数が少ない場合には電工ペンチで十分だと思います。大量に圧着するときには専用品がやっぱり便利でした。
QI・Dupont端子
一番有名なのはエンジニアさんのPA-24だと思います。QIは小型オーブンバレル型のため2箇所の圧着が必要になります。
私はPA-09をもっていて、対応コネクタは似ていますが若干の差があります。

PA-09は被覆をめり込むように圧着します。

PA-24はM型を使うと被覆にめり込み、丸型を使うと巻き付きます。そしてQIコネクタは丸型を使ったほうが好ましいのでPA-09よりはPA-24が適しているようでした。
そして同時圧着ペンチもあります。こちらを使うと一回で圧着完了しますのでかなり楽です。ただQIはかなり太いコードまで対応しているはずなのですが、同時圧着ペンチの場合には太いコードを使いにくいです。最初に端子をはめてからコードを横から差し込む手順になるのですが、太いコードだと奥まで差し込みにくく、エーモンの被覆が厚めの0.2sqケーブルでもかなり苦戦しました。
XH、PH、HY端子
XHとPH、HYはサイズが若干違いますが小型のオーブンバレルになります。被覆はめり込んで圧着するタイプです。エンジニアだとPA-09かPA-24が使えます。QIと共通して使えるPA-24が便利だと思います。
同時圧着ペンチの場合にはQIとは違うものが必要になります。被覆にめり込むタイプになっている上記などがあります。
工具の選び方
電工ペンチ | PA-24 | |
---|---|---|
ワイヤーストリッパー | ◯ | |
裸圧着端子 | ◯ | |
フェルール端子 | ||
平型端子・ファストン端子 | ◯ | |
QI・Dupont端子 | ◯ | |
XHコネクタ | ◯ | |
PHコネクタ | ◯ | |
HY2.0コネクタ | ◯ |
まずは電工ペンチとPA-24がおすすめです。その後にワイヤーストリッパーなどの専用品を購入して揃えていくのがいいと思います。フェルールはあると便利ですが、必須ではないと思います。
たとえばフェルールのかわりに裸圧着端子の先に棒がついているものもあります。こちらであれば電工ペンチで圧着可能です。ただそこまでしなくてもハンダで先を固めるぐらいで十分なケースが多いと思います。
専用品も2千円前後から購入可能ですので利用頻度に応じて揃えていくのがよいと思います。ブランドはいろいろありますが、低価格のものはエンジニアかIWISSを選んでおくと無難だと思います。
まとめ
PA-24は2022年の新製品でPA-09を購入したときにはまだ発売されていませんでした。PA-24もほしいのですがあまり使わない工具で4千円を超えるのでちょっと躊躇しています。
同時圧着ペンチも便利なのですが、圧着頻度が低い場合にはPA-24と電工ペンチでも大丈夫だと思います。
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